(ブルームバーグ):トランプ米大統領は2日、人工知能(AI)を利用したサイバー攻撃への対策として、政府機関とAI企業の連携を求める大統領令に署名した。技術革新を阻害する恐れがあるとして、いったん署名が延期されていた政策指針がようやく実現した。
大統領令は最先端AIモデルについて、機密保持措置を講じた上で、企業の自主的な協力に基づき、一般公開の最長30日前から米政府がその能力を検証できるようにする内容。また連邦政府や州・地方政府機関、重要インフラ運営事業者が、いわゆる「フロンティアAIモデル」に組み込まれたセキュリティーツールを利用しやすくすることも求めている。
ホワイトハウスのウェブサイトに掲載された大統領令によると、政府は財務省や国防総省を含む政府機関と業界向けに、ソフトウエアの脆弱(ぜいじゃく)性に関する調整や重複解消を行う組織も設立する。さらに国家安全保障局(NSA)などの機関に対し、AI開発企業と協力して、AIモデルが同大統領令の対象となるほど高度かどうかを判断する基準策定を指示した。
この政策は長らく注目を集めていたが、新たなAIモデルの一般公開前テストに政府がどこまで関与すべきかを巡り、政権内で議論が続いていた。トランプ氏は5月下旬に署名する予定だったが、直前になって式典を取りやめ、「内容の一部が気に入らない」と記者団に説明。AI競争で米国が中国に対抗する力を損なう恐れがあるとの懸念を示していた。
この大統領令の一部内容には、テクノロジー業界からの圧力もあった。複数の報道によると、元AI・暗号資産担当特使のデービッド・サックス氏はトランプ大統領に直接異議を唱えていた。
従来は新たなAIシステムに政府の承認を義務付ける案も検討されていたが、最終的には開発企業の自主的な参加を重視する内容となった。また政府による審査期間は、当初案に盛り込まれていた90日から最長30日に短縮された。
AI安全保障を強化する動きは、アンソロピックが最新モデル「Mythos(ミュトス)」について、ネットワーク上の脆弱(ぜいじゃく)性発見能力が極めて高く、重大なサイバーセキュリティー上のリスクとなり得ると明らかにしたことを受けたものだ。世界的に懸念が広がる中、アンソロピックはミュトスへのアクセスを一部の大手テクノロジー企業とウォール街の企業に限定していたが、2日にはさらに150の組織へ提供対象を拡大すると発表した。
原題:Trump Signs AI Cybersecurity Order After Debate Over Its Reach(抜粋)
--取材協力:Patrick Howell O'Neill.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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