(ブルームバーグ):トレーダーの間では、米・イラン協議を巡る不透明感や人工知能(AI)ブームを背景とした株高を支えに、今後数週間にわたりドルが上昇するとの見方が広がっている。
停戦が戦争終結に向けた目立った進展につながらなかったことからブルームバーグ・ドル・スポット指数は先月上昇した。紛争を受けた原油高によるショックが債券利回りを押し上げ、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げ方向に転じるとの見方が広がる中、投資家は改めて資金を米国へ移す動きを強めた。
イランがレバノンでのイスラエルの軍事行動への抗議として交渉停止を表明したことを受け、同指数は6月1日にさらに0.3%上昇した。ただ、その後にトランプ米大統領が協議は進展していると主張したため、上昇幅は抑えられた。ニューヨーク時間午後4時(日本時間2日午前5時)時点でユーロは1ユーロ=1.1635ドル近辺、円は1ドル=159円65銭。
5月の米製造業活動が4年ぶりの高い伸びを記録したことを示す統計もドル相場を支えた。同統計を受け、市場ではFRBが早ければ年内後半にも利上げを開始するとの観測が強まった。

さらにドルはここ数週間、米株高の恩恵も受けている。AIへの熱狂と巨額AI投資のインパクトが、戦争の影響に勝っている。
今週は新たな経済指標に投資家の注目が集まる。特に5日公表予定の5月の雇用統計を通じて、米経済の健全性やウォーシュ新FRB議長の下での金融政策の方向性を見極める展開となりそうだ。
ING銀行の為替戦略責任者クリス・ターナー氏は1日付のリポートで、「AI投資が経済全体に浸透するにつれ、米国の成長率が再加速する可能性があるとの見方が徐々に広がっている」と指摘。「今週の経済指標は、FRBが雇用最大化の責務については安心できる状況にあり、インフレ上振れリスクに集中できるとの見方をさらに裏付けるはずだ」と述べた。
通貨デリバティブ市場の投機筋のポジションは、トレーダーのドル強気姿勢が強まっていることを示している。ブルームバーグが集計した米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、レバレッジドファンドや資産運用会社などによるドル買い持ち高は約165億ドル(約2兆6300億円)と、4月以来の高水準となった。3週間前は約50億ドルだった。
ドイツ銀行のジョージ・サラベロス氏率いる為替ストラテジストらは1日、AIブームを背景とする米サービス輸出の増加によって、米国の経常収支が国内総生産(GDP)比で約1%改善する可能性があるとの見方を示した。
サラベロス氏は「将来のAI収益の流れから最も恩恵を受けるのはドルだろう」と指摘。ドルは現時点ではAI関連設備投資ブームによって中程度の支援しか受けていないが、米テクノロジー企業の優位性を考えれば、将来的に設備投資からの利益を享受する可能性が高いと述べた。
原題:AI Rally, Haven Flows Boost Bets on Further Dollar Gains (2)(抜粋)
--取材協力:Kristine Aquino、William Selway.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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