(ブルームバーグ):米グーグルの親会社アルファベットは、米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイによる投資を含む総額800億ドル(約12兆7710億円)の株式による資金調達を行う。人工知能(AI)関連の積極的な投資計画に向けた資金確保を急いでいる。
アルファベットの1日の発表文によると、今回の資金調達には7-9月(第3四半期)から随時株式を売却する400億ドル規模のいわゆるアット・ザ・マーケット(ATM)プログラムが含まれる。300億ドル相当の引き受けによる株式および強制転換型優先株の発行に加え、バークシャー・ハサウェイとの100億ドルの取引も実施する。
これらの取引を合わせると、過去最大級の株式調達案件の一つとなる。今年は大型の新規株式公開(IPO)が続いている中で、予想されていなかった展開となった。
大手上場企業がこれほど大規模な株式調達を行うのは異例だが、AI事業に伴う巨額の資金需要を背景に、グーグルや同業他社は新たな資金調達策を模索している。アルファベットは、最先端AIモデルの開発や、自社チップを購入してAI戦略を進めようとする顧客需要に対応するため、必要なインフラ構築に向けて前例のない投資拡大を進めている。

アルファベットは、自社開発AIチップであるテンソル・プロセッシング・ユニット(TPU)への需要拡大を取り込もうとしている。TPUは、膨大な計算能力を必要とするAI分野において、市場首位のエヌビディアのプロセッサーに対する主要な代替手段となっている。
アルファベットは発表文で「AIがアルファベットの成長を加速させている」とした上で、「投資規模を拡大することで、当社は今後の大きな成長機会を支える基盤インフラの拡充を目指す」と説明した。

アナト・アシュケナージ最高財務責任者(CFO)は4月、2027年の設備投資額が26年に計画している最大1900億ドルを「大幅に」上回るとの見通しを示していた。この1900億ドルという水準自体、前年実績の2倍超に相当する。今回の資金調達を踏まえ、ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリスト、マンディープ・シン氏は、同社の設備投資が来年3000億ドルに達する可能性があるとみている。
シン氏によると、この水準の支出はアルファベットの営業キャッシュフローさえ上回る可能性がある。さらに今回の資金調達は、アルファベットの設備投資資金を確保するだけでなく、今年上場予定のスペースX、アンソロピック、OpenAIといった競合企業の資金調達案件から投資資金を引き離す可能性もある。
「公開市場であっても、投資に回せる資金には限りがある」とシン氏は指摘。「投資家がグーグルの成長見通しを理由にTPUを魅力的な投資先と判断し、資金を振り向ければ、それは新規IPOにとってマイナスとなる。IPOを予定している企業も非常に高い成長率を誇るが、それでも影響は避けられない」と述べた。
アルファベットは過去12カ月間の株価上昇も活用している。同社株はこの期間に2倍超へ上昇し、現在はエヌビディアに次ぐ世界第2位の時価総額企業となっている。
ブルームバーグ・ニュースが確認した取引条件によれば、強制転換型優先株と引き受けによる普通株式の発行価格は、2日のニューヨーク市場の取引終了後に決定される見通しだ。
規制当局への提出資料によると、バークシャー・ハサウェイは昨年からアルファベットへの投資を開始しており、今年3月末時点で保有するクラスA株とクラスC株の価値は合計約166億ドル相当だった。
著名投資家ウォーレン・バフェット氏の引退を受けて昨年バークシャー・ハサウェイの指揮を引き継いだグレッグ・アベル最高経営責任者(CEO)は、過去最高となる3970億ドルの手元資金の運用に着手している。バークシャーは5月31日、米住宅建設会社テイラー・モリソン・ホームを約68億ドルで買収すると発表。米住宅市場への信認を示す動きとなった。
アルファベットによると、ゴールドマン・サックス・グループ、JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレーが引き受けによる募集の主幹事を務める。ゴールドマン・サックスは第三者割当増資の代理人を務める。
原題:Alphabet to Raise $80 Billion in Equity for AI Spending (2)(抜粋)
(資金調達の詳細を第3段落以降に追加して更新します)
--取材協力:Nick Turner.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.