債券トレーダーは今週発表される重要な雇用統計に注目している。米国経済が十分に強く、来年までに利上げが必要になるほどなのかを確認しようとしている。

5日発表の米雇用統計では、労働市場が底堅さを維持したことが明らかになると見込まれている。原油価格の高止まりやインフレ再加速と合わせ、ウォーシュ議長の下で初めて開催される6月の連邦公開市場委員会(FOMC)の政策声明では、緩和バイアスが取り除かれるとの期待を強める可能性がある。

市場では、遅くとも2027年半ばには利上げがあるとみられている。以前にはウォーシュ氏が就任早々に利下げに踏み切るとの期待もあったが、イラン戦争によるエネルギー価格の高騰でその期待を押しつぶした。ブルームバーグ・エコノミクスの試算によると、戦争開始以降の債券利回り上昇は、既に米国で0.75ポイントの利上げに相当する金融引き締め効果をもたらしている。

DWSアメリカズの債券部門責任者ジョージ・カトランボーン氏は、「利回り上昇は、米国経済に対する引き締めを強めている。金融当局の仕事を代行している格好だ」と指摘。2年債から10年債まで幅広い年限で金利が上昇し、「経済に対する一定の逆風が生まれ、いずれ波及してくるだろう」との見解を示した。

高インフレによる実質賃金への打撃も加わり、米消費者の深まる苦境が景気を圧迫しそうだと、カトランボーン氏は語った。こうした背景から同氏は2年債を選好し、10年債も最近の利回り上昇局面で購入したという。

指標の米10年債利回りは2週間前のピークからは低下したが、イラン戦争の終結がなお不透明な兆しを受け、1日のアジア時間には3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して4.47%を付けた。この上昇は他市場にも伝わり、オーストラリア10年債利回りも6bp上昇した。

それでも、住宅ローンや企業の借入金利の基準となる米10年債利回りは、依然として2月末時点より50bp高い水準にある。先週には、同年債利回りが数カ月以内に5%を超えることを見込むオプション取引も出現した。この水準は2023年以来見られていない。

市場は分岐点

こうした状況は、今週発表の雇用統計の重要性を一段と高める。これに先立ち、求人件数やADPリサーチ・インスティテュートによる民間雇用数など、労働市場に関する一連の指標の発表もある。ブルームバーグ調査によると、5月の雇用者数は約9万人増加し、失業率は4.3%で横ばいだったとみられている。

アメリベット・セキュリティーズの米金利取引・戦略責任者、グレゴリー・ファラネロ氏は、「インフレが高止まりし、雇用増加も堅調であれば、市場は急激な米国の金利上昇を織り込み始める可能性がある」と論じ、「1回の利上げでは済まないだろう」と語った。

先週公表されたデータでは、米連邦準備制度が重視するインフレ指標の個人消費支出(PCE)が4月に前年同月比3.8%上昇し、当局者が長期で目標とする2%を大きく上回った。

米当局の金融引き締め観測が強まる中、短期債利回りは現在の政策金利の誘導目標レンジである3.5-3.75%を上回る水準で推移している。金融政策の見通しに特に敏感な2年債利回りは4%前後で、2月下旬と比べ約60bp高い。この上昇で、長期債との利回り格差は縮小している。

ウェリントン・マネジメントのローレン・モラン氏は、人工知能(AI)ブームを支える巨額の設備投資が経済成長とインフレを加速させるとの見方から、これまで国債に慎重な姿勢を取っていた。

しかし、利回り上昇と米利上げ観測の高まりを受けて、米短期債は「長期債利回りと比べて非常に魅力的になっており、資金の避難場所を提供している」と同氏は述べた。

原題:Bond Trader Bets on Fed Hike Poised for Gut Check From Jobs Data(抜粋)

--取材協力:Edward Bolingbroke、Matthew Burgess.

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