(ブルームバーグ):トランプ米大統領は米東部時間5日夜、ホルムズ海峡周辺で米国とイランの部隊が再び衝突したものの、イランとの暫定和平合意に向けた協議が「うまくいく」との見通しを示した。
トランプ氏は自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿し、自身が合意に応じるかどうかを巡る憶測が絶えず、交渉の妨げになっていると不満を示した。合意が成立すれば、米イランは停戦を約2カ月延長し、イランが封鎖しているホルムズ海峡を開放する一方、米国はイラン港湾への封鎖を解除する見通しだ。
トランプ氏は、「政治的な愚者らが、もっと早く動け、もっとゆっくり動けとか、戦争をしろとかするなとか、騒ぎ立てる中で、私が適切に仕事をし交渉するのは非常に難しい」と投稿した。そして、「ただ落ち着いて見ていてほしい。最終的にはすべてうまくいく」と強調した。
5月29日のホワイトハウスのシチュエーションルームで開かれた会議以降、トランプ氏が発言したのは初めて。トランプ氏は同日、会議後に「最終判断を下す」と述べていたが、実際には決定を先送りし、イランの高濃縮ウラン備蓄の扱いや、ホルムズ海峡の再開方法などを巡る協議の継続を認めた格好だ。
イラン戦争によりエネルギー価格が急騰し、多くの米国民が戦争に不満を示す中、和平合意を巡るトランプ氏への圧力は増している。一方で、米国が凍結している数十億ドル規模のイラン資産をイランの要求通り解除すれば、国内外から強い批判を浴びる可能性もあり、そのバランスを取らなければならない。
米イラン間の緊張状態は続いており、米軍は週末、イランのレーダー施設や指揮統制拠点を攻撃した。米軍は、国際水域上空での無人機撃墜を含む「イランの攻撃的行動」に対する「抑制的な対応」だったとしている。
イランの半国営ファルス通信は、イラン革命防衛隊が報復として空軍基地を攻撃したと報じた。攻撃対象の所在地は明らかにしなかった。クウェートは1日朝、自国の防空システムが「敵対的なミサイルおよび無人機攻撃」に対処していると発表した。
小規模な軍事的応酬が先週から続いているものの、米国とイランの協議を頓挫させるには至っていない。革命防衛隊と近い関係を持つ半国営タスニム通信は5月31日、双方が引き続き合意文書案の修正提案を行っていると報じた。ただし、合意に達する保証はないとも強調した。
原油相場は1日に上昇し、ブレント原油先物は一時2.8%高の1バレル=93.65ドルとなった。先週は、合意成立や全面戦争回避への期待から11%超下落した。
争点
イラン国営テレビは5月30日、新たな合意案の存在を報じた。同案では、ホルムズ海峡を「通過する船舶の性質を決定する排他的権限」をイラン政府に認める内容が盛り込まれているとされるが、これは米国が受け入れない可能性が高い。
同テレビによると、合意案には米国が凍結資金120億ドルへのアクセスを60日以内に認め、その資金を制限なく直接イランの銀行へ送金することを約束したとの記述も含まれている。ただし、合意案は「非公式」で、最終決定されたものではないという。
ホワイトハウスはこの報道に関するコメントの要請に応じなかった。
イスラエル
イランは、米国とのいかなる合意も、イランが支援するヒズボラとイスラエルの戦闘が続くレバノンも含めた、地域全体の戦闘に適用されるべきだとしている。
イスラエルはレバノンへの攻撃をさらに拡大し、週末には十字軍時代に築かれたボーフォール城を制圧した。ヒズボラもイスラエル北部への攻撃を強化している。イスラエル軍によると、ヒズボラは週末、レバノン国内のイスラエル軍部隊やイスラエル北部に向けて、300発を超える「飛翔(ひしょう)体」を発射した。
ニュースサイトのアクシオスの記者は匿名の米政府高官の話として、ルビオ米国務長官が、レバノンのアウン大統領、イスラエルのネタニヤフ首相と個別に会談し、新たな停戦案の実現を働きかけたとX(旧ツイッター)に投稿した。米国は停戦への第一段階として、ヒズボラがイスラエルに対するあらゆる攻撃を停止することと、イスラエル側がレバノンでの事態の深刻化を控えることを提案したという。
ただし、イスラエルは米国とイランの協議には参加しておらず、仮にイランとの合意が成立しても、レバノンでの戦闘を停止することに同意するかどうかは不明だ。
原題:Trump Says Deal Will ‘Work Out Well’ Even as US, Iran Clash(抜粋)
--取材協力:Galit Altstein、Skylar Woodhouse、Golnar Motevalli、Maria Paula Mijares Torres、Benoit Berthelot.
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