(ブルームバーグ):米エヌビディアはパソコン(PC)市場向けの新型チップを投入する。この分野で長年にわたり支配的地位を築いてきたインテルの影響力を切り崩すとともに、人工知能(AI)時代に向けてPCの刷新を進める。
エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)が台北で開催された見本市「Computex」で、今秋以降、新たな「RTX Spark Superchip」を搭載したノートPCおよびデスクトップPCがデル・テクノロジーズやレノボ・グループ(聯想集団)など主要PCメーカーから発売されると発表した。
RTX Sparkは、台湾の聯発科技(メディアテック)の協力を得て開発されたプロセッサーとグラフィックス機能を統合したチップで、マイクロソフトのアーム版ウィンドウズを動作させる。
現在はデータセンター分野で圧倒的な存在感を持つエヌビディアだが、10年以上前に頓挫した取り組み以来となるPC向けプロセッサー市場への再挑戦となる。今回は、クアルコムなどの競合企業や既存勢力を上回る経営資源を投入できる強固な立場で市場参入に臨む。エヌビディアにとって、今回の取り組みはAIの開発と利用の中核的地位を維持する戦略の一環でもある。
同社によると、RTX Sparkを搭載した最初の新型ノートPCは高価格帯市場を対象とする。高い電力効率により、高性能と薄型・軽量設計の両立を図る。エヌビディアは、後継世代ではより幅広い価格帯にも対応可能になるとしている。
これまでであれば、PC市場への本格参入はエヌビディアにとって事業領域と成長機会の大幅な拡大を意味した。しかし現在では、同社のデータセンター向けチップ事業の売上高は、最も近い競合企業の売上高を合計しても及ばない規模に達している。直近四半期のエヌビディアの売上高は、インテルとアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の昨年1年間の売上高合計にほぼ匹敵した。
それでも、AIブームによる急成長を背景に同社株を買い進めてきた投資家にとっては、AI技術を最終利用者に届ける製品分野でのプレゼンス拡大は歓迎材料となる可能性がある。エヌビディアの成長率は他の半導体メーカーを大きく上回っているものの、同社株は今年、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)のパフォーマンスを下回っている。
エヌビディアは、新型デバイスの準備とソフトウエア対応の確保に向け、長年にわたりマイクロソフトと協力してきたと説明した。これにより、アーム・ホールディングスの技術がウィンドウズPC市場で本格的に普及する基盤が整う。マイクロソフトとクアルコムも1年以上前から同様のPCを推進してきたが、その影響は限定的だった。
アップルのパソコン「Mac」を除けば、大半のPCはインテルまたはAMD製のプロセッサーを搭載している。アームの優位性は大幅に優れた電力効率にある一方、ソフトウエア互換性では後れを取ってきた。
RTX Spark搭載PCは、AIモデルや日常的に利用されるソフトウエアのAI機能をより効率的に処理できるようになる。また、ゲーム性能も向上させ、ノートPCでも最新の高性能ゲームを動かせるようになるという。
エヌビディアは、競合他社の既存製品や今後発売予定の製品との性能比較については明らかにしなかった。こうした情報は、新型機の発売時に公表するとしている。現在の半導体業界における部品不足が製品の出荷に影響を及ぼすことはないとみている。
原題:Nvidia Enters Windows Laptop Market, Taking On Intel and AMD(抜粋)
(本文5段落目以降に新製品の詳細を追加して更新します)
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