(ブルームバーグ):
若者の喫煙減少は21世紀の公衆衛生における大きな成果の一つで、保守派もリベラル派も等しく称賛してきた。
だがホワイトハウスは今、その成果を危険にさらそうとしている。方針を転換しなければ、米国の子ども数百万人がその代償を払うことになる。
たばこ関連の死亡や病気は、党派を選ばない。誰もが、たばこ使用の被害を受けた人を知っている。だが喫煙率を劇的に下げた賢明な政策のおかげで、そうした話は以前ほど多くなくなった。
25年前、米国の高校生のほぼ30%が紙巻きたばこを吸っていた。2024年にはその割合は1.7%に低下した。驚くほど大きな減少だ。残念ながら、話はそこで終わらない。
そうした進展の裏側で、電子たばこが広がっている。高校生の約8%が定期的に使用している。使用者の9割はフレーバー付き電子たばこを吸い、大半はすでに禁煙を試み、失敗している。
これらの統計は極めて憂慮すべきものだ。電子たばこには有害な化学物質の混合物が含まれており、肺損傷や呼吸器疾患、心臓病、若者の脳発達への悪影響、その他の健康問題など、潜在的な害のリストは長い。だが危険はそれだけではない。
米厚生省によると、電子たばこを吸う10代は紙巻きたばこに向かう可能性が3、4倍高くなる。たばこ業界の幹部はもちろんそれを知っている。そして10代を取り込む最善の方法が、甘くフルーティーなフレーバーであることも知っている。
トランプ大統領は19年、この問題に「強力な規則と規制」で対処すると約束した。評価すべきことに、実際にそうした。米食品医薬品局(FDA)は20年、メンソールとたばこ味以外のフレーバーを禁止した。
これは大きな効果を生み、高校生の電子たばこ使用率を劇的に下げる助けとなった。だが、たばこ業界による水面下のロビー活動と政治献金を受け、FDAは最近、科学的審査すら行わずにフレーバー製品を巡る方針を転換した。
業界は、たばこ製品を合法的に購入できるのは21歳以上だけだと主張する。だが、子どもが規制をすり抜けるのがいかに容易かを考えれば、笑止千万だ。
公平を期して言えば、業界は一つ妥当な指摘をしている。トランプ政権は、中国などから流入し、米国内で違法に販売されているフレーバー付き電子たばこを止められていない。
だがその問題への対処法は、合成麻薬フェンタニルの密輸と同じく、生産と販売を合法化することではない。より厳しく、より賢く取り締まることだ。それなのに政府は逆のことをしている。諦めているのだ。
フレーバー付き禁止を
FDAは今後、闇市場の取り締まりを事実上やめ、有害物質だらけの無規制製品が子どもをむしばむのを許すことになる。さらに、FDAが科学的審査を行う前に電子たばこ企業が製品を販売することも認め始める。米国人が危険な水準の有害化学物質を摂取する可能性は一段と高まる。
こうした動きは、喫煙抑制を巡る四半世紀の進展を損なう恐れがある。その多くは、ニューヨーク市で実施され、全米、そして世界に広がった取り組みによって促されたものだ。私たちは増税や闇市場の取り締まり、禁煙支援、屋内禁煙令など多様な戦略を通じ、喫煙率を劇的に引き下げた。
当時、たばこ会社は喫煙禁止が市のホスピタリティー産業を破壊すると主張した。だが、実際には活況をもたらした。当初は禁煙令に反対していたバーやレストランの経営者も、すぐにそれを歓迎するようになった。より多くの客を呼び込み、そうした客がより多くのお金を使ったからだ。
たばこ業界は今、さらにもっともらしくない主張をしている。自分たちは禁煙を支援するビジネスをしているとまで言っている。そんなばかげた話があるだろうか。
電子たばこが禁煙を手助けする可能性を示す一定の証拠があるのは事実だ。だが喫煙者が求めるのは、甘くフルーティーなフレーバーではない。ニコチンだ。
そしてニコチン依存を減らす最善の方法は予防であり、そのためには子どもたちの習慣にならないようフレーバー付き電子たばこを禁止する必要がある。
親たちは昔から、子どもを守るため、見知らぬ人からキャンディーを受け取らないよう警告してきた。たばこ会社がフレーバー付き電子たばこを提供することは、古い手口の新しい形だ。そして恥ずべきことに、政府は子どもたちにつけ込もうとする側と手を組んでいる。
良い知らせは、米国民が連邦議会の行動を待つ必要はないということだ。6州がフレーバー付き電子たばこの禁止を採用し、200を超える小さな町や大都市も同様の措置を取っている。
6州には民主党が主導する州もあれば、共和党中心の州もあり、こうした禁止措置は超党派の支持を得ている。親は子どもに電子たばこを使ってほしくないと考えており、子どもをニコチン依存から守るにはフレーバーを市場から排除することが不可欠だと知っているからだ。
悲劇的なことに、連邦議会がFDAによるフレーバー付き電子たばこの禁止を復活させるために介入しなければ、ニコチン依存に陥り、重い病気にかかり、早く苦痛に満ちた死を迎える子どもたちが増えることになる。
子どもたちはそんな扱いを受けるべきではない。子どもたちのために立ち上がり、たばこ会社に子どもたちを売り渡すのをやめさせるのは、選挙で連邦議員を選ぶ私たち次第だ。
(マイケル・ブルームバーグ氏はブルームバーグ・ニュースの親会社ブルームバーグ・エル・ピーの創業者で、過半数株式を保有しています。このコラムの内容は個人の意見です)
原題:FDA’s U-Turn on Flavored Vapes Will Harm Kids: Michael Bloomberg(抜粋)
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