米メタ・プラットフォームズの人工知能(AI)への野心を巡るシナリオに対し、ここ数四半期は懐疑的な見方が広がっていた。同社はAI分野への投資をますます拡大しているものの、それをどのように回収するかという明確なロードマップを描けていなかった。投資家は、メタには計画さえないのではないかと懸念していた。

こうした不安を抱えていた投資家も、27日にメタが消費者向けで同社初となるAIサブスクリプションを発表したことで、胸をなで下ろした。メタは近く、対話型人工知能(AI)「メタAI」を頻繁に利用して画像や動画を生成したり、より深い回答を求めて同アプリの「Thinking」モードを利用したりするユーザーに月額料金を課す。このニュースを受け、メタの株価は同日の取引で4%近く上昇した。

一方、同社はいずれ企業やクリエイターに対しても、AIエージェントの利用で課金したい考えだ。この分野には多額の投資を行っており、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)も個人的な関心を寄せている。すでにフェイスブックやインスタグラム、ワッツアップを利用している企業が、マーケティングやコンテンツ制作、カスタマーサポートを支援するAIエージェントを活用する姿は容易に想像できる。

Photographer: David Paul Morris/Bloomberg

AIに着想を得たこれら一連のビジネスモデルは、スーパーインテリジェンス(超知能)を巡る開発競争を注視してきた人にとって驚くものではない。 OpenAIやグーグル、アンソロピックといったAI企業も、同じような価格帯で同様のサブスク商品を提供している。

この競争により、メタにとって投資回収がさらに困難になるのは避けられない。グーグルの「Gemini」やOpenAIの「ChatGPT」に加えて、メタAIにも登録するユーザーがいるだろうか。3つも4つもの異なるAI企業のエージェントを使う人がいるだろうか。投資家はこの見通しに期待を寄せているようだが、私は疑問に思う。

ただ、この不可避の衝突について興味深いのは、メタがAIレースに参入することばかりが盛んに議論され、AI企業側も同様にメタの中核的なビジネスモデルを狙っているという事実がさほど注目されていない点だ。

OpenAIは現在、ChatGPT内で広告を運用している。イーロン・マスク氏も、xAIのチャットボット「Grok」で同様の計画があると言及した。質問やインスピレーション、さらには話し相手を求めてAIチャットボットを利用する人が増えるにつれ、これらの企業がサブスクの契約獲得を争うのと同様に、広告費を取り合うようになるのは確実だ。

もっともOpenAIでは、複数の経営幹部がメタ出身だ。サム・アルトマンCEOがゼロから広告ビジネスを構築しようとするのと同時に、メタの元幹部を採用しようとしているのは偶然ではない。

当然ながら、広告に関してはメタが圧倒的に優位だ。昨年の売上高は2000億ドル(約32兆円)を超え、そのほぼすべてが広告によるものだ。これに対し、OpenAIのAIサブスクにおけるリードは、その一部にすぎない。OpenAIが広告分野でメタに追いつくよりも、メタがAI分野での遅れを取り戻す方が、はるかに容易だ。

しかし、OpenAIとマスク氏率いるスペースXが年内の新規株式公開(IPO)を申請するとみられる中、両社に対し四半期ごとに売上高を伸ばすよう求める圧力は強まるだろう。両社が今後、AI製品により多くの広告を投入することは目に見えている。

メタの投資家は、同社がAIサブスクを巡る競争に参入することを好感している。だが、メタにとってはるかに規模の大きい広告ビジネスが脅される競争上の脅威には今のところ、あまり気づいていない。

原題:Meta Targets AI While Rivals Target Meta’s Ads: Tech In Depth(抜粋)

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