元日本銀行審議委員の桜井真氏は、日銀は次回6月の金融政策決定会合で1.0%への利上げを決める可能性が大きいとの見解を示した。見送った場合は、政策対応の遅れで先行き断続的な利上げを迫られるとみている。

桜井氏は29日のインタビューで、中東情勢を巡る不透明感を踏まえれば、消費者物価(CPI)は日銀見通しよりも高まる可能性があると指摘。利上げしなければ「確実に政策対応が遅れてしまう。6月は利上げをすると思う」と語った。景気減速が予想されるものの、現状はインフレ対応を最優先するべき局面だと強調した。

物価上振れリスクを放置すれば、一段と円安が進行する可能性も含め、CPI上昇率は秋以降に3%を大きく超え、断続的な利上げに追い込まれるかもしれないとの見方を示した。過去最高値を更新し続ける株価動向なども考慮し、日銀が行動しなければ1990年代のようなバブル経済の発生と崩壊につながりかねないと警鐘を鳴らした。

日銀は4月の決定会合で政策金利を0.75%に据え置くことを決めたが、9人の政策委員のうち中川順子、高田創、田村直樹の3人の審議委員が利上げが必要として反対した。物価上振れリスクへの警戒が強まる中、市場では6月15、16日の決定会合での利上げ観測が強まっており、桜井氏も早期利上げの必要性を主張した。

桜井氏は、少なくとも6月会合では3人の審議委員に増一行審議委員を加えた4人が利上げを主張するのは確実だとし、「あとは植田和男総裁の決断次第だ」と語った。増氏は14日の講演で、景気下振れの兆しが明確にならなければ、できる限り早い段階での利上げが望ましいとの見解を示した。

足元の金利スワップ市場が織り込む日銀の利上げ確率は、6月会合が約78%。7月会合までは約95%に達している。

桜井氏は、経済・物価の安定の観点から年2回のペースでの利上げが適当とみている。今回の利上げ局面の最終到達点(ターミナルレート)は、これまで1.5%程度とみていたが、中東情勢を受けた物価上振れリスクの高まりや円安の長期化、政府の財政拡張などによって「場合によっては2%もあり得る」という。

高市政権は容認へ

日銀内で早期利上げに向けた機運の高まりが見られる中、利上げに慎重とされる高市早苗首相の姿勢に市場は注目している。桜井氏は、米国が円安や日本の長期金利上昇を懸念しているとの見方を示し、高市政権は日銀の利上げを「米国との関係からも容認せざるを得ないだろう」と語った。

ベッセント米財務長官は12日、官邸での高市首相との会談後に記者団の質問に答え、強い日本経済のファンダメンタルズが為替レートに反映されるだろうと発言。日銀の金融政策に関しては、植田総裁が「日銀を成功へ導く金融政策を進めることに大きな信頼を寄せている」と述べた。

その後に高市首相と植田総裁は22日に官邸で会談。植田総裁によると、会談では首相から政府・日銀の共同声明(アコード)に沿って、政権が進める物価高対策や危機管理投資、成長投資といった取り組みについて理解の上、日銀としても適切な政策を実行してほしいと伝えられたという。

国債買い入れ減額

6月会合では、国債買い入れの減額計画について中間評価を行う。2025年6月に決めた現在の減額計画は、四半期ごとに買い入れ額を2000億円ずつ減らし、27年1ー3月に月間購入額が2.1兆円程度まで縮小する。減額開始前の買い入れ額は月間約6兆円だった。

桜井氏は、27年4月以降の国債買い入れについて、減額の凍結も選択肢との見解を示した。国債買い入れの有無に関わらず、保有国債の満期償還や貸し出しの減少などによって、日銀のバランスシートの縮小は相応の規模で今後も進むと指摘。市場に無用な混乱を及ぼさない観点からも、今は利上げを優先するべきだと繰り返した。

中間評価を控えて日銀が21、22日に開いた債券市場参加者との会合では、27年4月以降の国債買い入れについて、減額停止を求める意見が複数示された。一方で現行の減額ペースの継続を求める声も複数あった。現行計画は維持するべきだとの意見が多かったという。

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