全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)の7-8月発券分の燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)が、北米行きでは7万円近くなる可能性がある。ブルームバーグが4-5月の燃料価格や為替のデータをもとに試算した。イラン戦争に伴う燃料費の上昇や円安が、夏休みの旅行需要に影を落としかねない状況だ。

両社はシンガポール市場のケロシン(ジェット燃料)価格と為替レートの2カ月平均を基にサーチャージの適用額を見直しており、7-8月発券分は4-5月が参照期間となる。ブルームバーグがとりまとめたデータを基に計算すると28日までの平均燃油価格は約2万8000円となる。現在の両社の改定条件表の上限「2万3000円以上、2万4000円未満」を大きく超える水準だ。

平均燃油価格の上昇分をそのままサーチャージに反映した場合、韓国行きでは約8000円、北米行や欧州行きでは約6万9000円になると試算できる。ただ、前回は平均燃油価格の上昇が約75%だったのに対し、サーチャージは1.9-2.2倍となっており、今回も引き上げ率は異なる可能性がある。両社のウェブサイトによると、7-8月発券分の適用額は6月中旬以降に公表される予定となっている。

日本航空と全日本空輸の航空機

JALの広報担当者は、燃料と為替の市況や政府の補助金などを踏まえてサーチャージを決める方針だと述べた。上限引き上げについて現時点で決まったことはないという。ANAの広報担当者は同社としての対応は検討中だと述べた。

イラン戦争の影響で原油の供給が滞りジェット燃料の価格が高騰したことを受け、航空各社は相次ぎサーチャージを引き上げている。ANAとJALも先月にサーチャージを大幅に引き上げたばかりで、さらなる値上げに踏み切れば夏休みシーズンの旅行需要の減少を招く恐れがある。

米国とイランは60日間の停戦延長と、イランの核開発計画を巡ってさらなる協議を開始することで暫定合意に達したとブルームバーグは28日に報じた。事態が収束する期待感が高まっているが、仮に燃料価格高騰が続けば、海外離れを加速させる可能性もある。

ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、エリック・チュー氏はサーチャージが引き上げられたとしても中国を除くインバウンド需要については堅調さを維持するとした上で、「最も大きな打撃を受けるのは、既に低迷している日本発のアウトバウンド需要だろう」との見方を示した。「特に円相場が対ドルで歴史的な安値圏にとどまっており、海外旅行コストをさらに押し上げているためだ」と続けた。

日本は多くの国にビザ無しで渡航可能なことから、そのパスポートは「世界最強」ともされるが取得率は低迷している。日本旅行業協会によると、日本のパスポート保有率は2023年時点で17%となっており、60%の英国と台湾、50%の米国、42%の韓国を大きく下回っている。

(ANAと識者のコメントを追加して更新します)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.