米セントルイス連銀のムサレム総裁は、高止まりしているインフレの緩和を、人工知能(AI)による生産性向上の可能性に頼ることはできないとの認識を示した。

ムサレム総裁は28日、アイスランドの首都レイキャビクで行われたイベントで講演。「将来的に生産性が向上するとの見通しに、現在のインフレ問題の解決を委ねるのはリスクが高いだろう」と述べた。発言内容は事前原稿に基づく。

同総裁はインフレを考慮すれば、米政策金利は中立金利を下回っているとの見解を示した。労働市場は安定しているとし、インフレ率については米連邦準備制度理事会(FRB)目標の2%を「大きく上回っている」と指摘。長期インフレ期待も「上昇方向で推移している」と述べた。

AIに関してはウォーシュ新FRB議長が、生産性の大幅な向上をもたらし、インフレを伴わない経済成長と、それに伴う低金利環境を実現する可能性があるとの見解を示している。

ムサレム氏は、自身がAIを積極的に使っているとし、その経済押し上げ効果に楽観的だと発言。一方で、AIブームが電力や半導体の需要を拡大させ、一部AI関連銘柄の株価高騰につながっていると指摘した。中央銀行は生産性向上がインフレ抑制につながっているという証拠がない中で、利上げに踏み切らざるを得なくなる恐れがある。

ムサレム総裁の講演(レイキャビク)(動画)

利上げの可能性

講演後の質疑応答では、利上げを支持するにはどういった条件が必要かと問われ、リスクは雇用よりインフレの方に傾いていると発言。物価上昇圧力が続く場合は懸念するだろうと述べた。

「経済が利上げを必要とし得るシナリオはある」とし、「向こう1、2四半期の間にディスインフレが見られないようなら、私は懸念するだろう。インフレ期待が引き続き上昇する、ないし高止まりするような場合は懸念要因だ」と話した。

ムサレム氏は講演後にはブルームバーグテレビジョンに出演。4月の連邦公開市場委員会(FOMC)声明から緩和バイアスを削除するよう求めた当局者らに同意するとし、現在の経済環境では利上げの可能性もあることを示す必要性があると述べた。

「FRBの使命は物価安定と雇用の最大化だが、足元ではインフレが目標を上回っている」と発言。「将来的に利上げを検討する可能性や確率はゼロより高くなければならない」と語った。

ここ数週間の米国債利回り上昇については、その約4分の3が中立金利見通しの上昇によるものであり、金融環境に対してより直接的な影響があるタームプレミアムは4分の1にとどまるとの試算を示した。

原題:Musalem Says the Fed Can’t Rely on AI to Lower Inflation (2)(抜粋)

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