自民党は銀行の融資額について、自己資本の一定割合を上限とする規制を緩和するよう政府に提言する。大型の企業買収・合併(M&A)を念頭に、巨額の融資が必要な企業に上限を超える額の融資ができるようにする。

ブルームバーグは、自民党日本成長戦略本部が28日に開いた会合で示した提言案を入手した。同戦略は高市早苗政権の看板政策で、提言内容は政府が7月にもまとめる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に盛り込まれる可能性がある。

銀行による日本企業への資金供給や成長支援の役割を強化する狙いがある。提言案に、同一グループへの融資を自己資本の25%以下に制限する大口与信規制について「大型M&A融資などについて一定の要件下で特例承認の対象とすることを明確化する」と明記した。

日本ではM&Aの件数が増え、1件当たりの金額も大型になっている。高市政権はAI(人工知能)・半導体やデジタル・サイバーセキュリティーなど17分野を戦略分野と定めている。提言案ではこれらの分野に必要な資金が供給される環境を整備することが重要だとして、「成長投資や日本企業の事業再構築・再編を金融面から支える」と規制を緩和する狙いを記した。

M&Aでは、買収対象企業の資産などを担保とするレバレッジド・バイアウト(LBO)融資が多用される。LBO融資は一般的にリスクアセットが膨らみやすく、案件規模が大きくなるほど銀行にとっての負担が重くなる。このため、大型案件では国内の銀行だけで買収資金を賄うのが難しい場面が出始めている。

象徴的な事例となったのが、2024年にセブン&アイ・ホールディングスがカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けた際に浮上した対抗策だ。経営陣が参加する買収(MBO)を軸に模索したが、総額9兆円規模に上る資金を、創業家や伊藤忠商事による出資と銀行融資だけで賄うことは困難を極めた。そのため当時は外資系ファンドからの資金調達も視野に入った。

貸金業関連の規制の見直しも提案した。資金の出し手を多様化するため、「日本の銀行免許がない外国銀行の協調融資への参加や、プライベートデッドファンドの参入を促すべき」だと盛り込んだ。

金利ある世界が到来し、銀行の預金獲得競争は激しさを増している。融資を実行する際の規制が緩和されても、銀行にとっては資金調達が十分に追いつかない恐れがある。企業の旺盛な資金需要を「近い将来、銀行等のバランスシートのみでは支えられなくなる可能性もある」との認識を示した。

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