(ブルームバーグ):28日の日本市場では、円が為替介入以来の安値に一時下落した。米国がイラン軍事施設の空爆を含めて中東で攻撃を続けており、有事のドル買いが優勢になった。株式は下落した。
中東情勢への警戒感が強まり、円は対ドルで一時159円65銭と介入があった4月30日以来の安値まで下げた。160円に接近すると介入警戒感が強まり、円を下支えしている。ハイテク株中心に持ち直した株式は地政学的リスク拡大から再び売られ、指数は午後に一段安の場面があった。債券は年限によりまちまちで、超長期債は下落(金利は上昇)した。

中東の不安定な情勢に加え、政府・日本銀行の金融・財政運営を巡る思惑も交錯し、金融市場で各相場は神経質な値動きが続いている。
資本市場や政策分析を手掛ける戦略コンサルティング会社ラングリー・エスクァイアのティモシー・ラングリー社長は、「市場は、日本当局が160円を繰り返し防衛する意思が本当にあるのか試している」と指摘。「介入は時間を稼いだが、日米金利差や輸入インフレなど円安圧力そのものは解消していない」とし、円安基調は続くとの見方を示した。
為替
円は対ドルで一時159円65銭と、介入があった4月30日以来の安値を付けた。
りそなアセットマネジメントの黒瀬浩一チーフ・ストラテジストは、原油価格が下落しているにもかかわらず円安が進んでいる背景について、かつては大幅な円高をもたらした為替介入の「神通力が落ちている」と指摘。中東情勢を巡る不透明感に加え、補正予算など財政拡張への警戒が市場心理を悪化させ、為替、金利、株式市場に影響していると話した。
三菱UFJ信託銀行ニューヨーク支店資金証券室のシニアバイスプレジデント、横田裕矢氏は「地政学の不透明感からドルが強い」と指摘。月末を控えた実需のドル買いも見込まれる半面、為替介入への警戒感からドルの上値は重いとみている。
りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは、市場には円安への安心感が広がっていると指摘した上で、米国によるイランへの攻撃報道について、為替市場が「少し反応している可能性がある」と述べた。「円が徐々に弱くなってきているのは明白」とした上で、介入があっても影響は一時的との見方を示した。

株式
株式は下落。ペルシャ湾で新たな攻撃があり、中東情勢を巡る警戒が強まった。日経平均株価は午後に1100円超下げる場面があった。
銀行や情報・通信、非鉄金属が安い。電気機器、サービスや輸送用機器、小売りは買われている。
米当局者によると、米軍は軍事施設への空爆を実施したほか、ホルムズ海峡近くの別の標的も攻撃した。一方、クウェートの防空当局は、敵対的なミサイルやドローンの脅威への対応を進めていると発表した。
ピクテ・ジャパンの田中純平投資戦略部長は「米イランの合意期待の後退が売り材料になっている」と指摘。特にホルムズ海峡封鎖の解除が見通せなくなってきたことが株価の重しになっていると述べた。「ホルムズ海峡封鎖の長期化によって、世界的にインフレ圧力が高まることをマーケットは警戒している」としている。
また、KCMトレードのチーフマーケットアナリスト、ティム・ウォタラー氏は、中東情勢は進展と停滞を繰り返す状況だとして「投資家の忍耐も徐々に限界に近づいており、その結果として利益確定売りやアジア市場全体でのディフェンシブな動きが見られている」と指摘。「合意が成立していないことに加え、攻撃が継続していることで株式相場は下方向に動きやすい状況となっている」と話していた。

債券
債券は年限によりまちまちな動きで、短期債が上昇(金利は低下)して超長期債は下落(金利は上昇)した。
政府は高市早苗首相が掲げる成長・危機管理投資の拡大に向けた財源として「つなぎ国債」を活用する方針だ。木原稔官房長官が午前の記者会見で明らかにした。つなぎ国債は将来の償還財源を確保できる前提で発行し、一時的な資金不足を補う仕組み。財務省は赤字国債とは異なるものと位置付けている。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストはリポートで、「つなぎ国債」は新規財源債とは異なるが国の借金であることに変わりないと指摘。国債発行総額の増加要因となり相場の重しとなる可能性があるとの見方を示した。
一方で、三井住友DSアセットマネジメント グローバル債券グループの国部真二リードファンドマネジャーは、「つなぎ国債」について、赤字国債の発行を回避するための対応との見方を示し、きょうの相場には一定のプラス材料になっていると述べた。
その上で中長期的には防衛費など財政負担への懸念が残ると指摘。目先については、財政悪化への警戒感がやや和らいだとの見方を示した。
新発国債利回り(午後3時時点)

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--取材協力:我妻綾.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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