28日の日本市場では、円が介入以来の安値に一時下落した。米国がイランの軍事施設を空爆したことで有事のドル買いが優勢になった。株式は持ち直し、債券は上昇(金利は低下)した。

中東の不透明感が再び浮上して、円は対ドルで一時159円61銭と4月30日以来の安値まで下げた。160円に接近すると介入警戒感が強まり、円を下支えしている。下落して始まった株式はハイテク株中心に買いが膨らみ、日経平均株価は上昇して午前の取引を終えた。財政悪化懸念が加わって値下がりしていた債券はもみ合いから上昇に転じた。

1万円札と100ドル札

中東の不安定な情勢に加え、政府・日本銀行の金融・財政運営を巡る思惑も交錯し、金融市場で神経質な値動きが続いている。

りそなアセットマネジメントの黒瀬浩一チーフ・ストラテジストは、原油価格が下落しているにもかかわらず円安が進んでいる背景について、かつては大幅な円高をもたらした為替介入の「神通力が落ちている」と指摘。中東情勢を巡る不透明感に加え、補正予算など財政拡張への警戒が市場心理を悪化させ、為替、金利、株式市場に影響していると話した。

為替

円は対ドルで一時159円61銭と介入があった4月30日以来の安値に一時下がった。

三菱UFJ信託銀行ニューヨーク支店資金証券室のシニアバイスプレジデント、横田裕矢氏は「地政学の不透明感からドルが強い」と指摘。月末を控えた実需のドル買いも見込まれる半面、為替介入への警戒感からドルの上値は重いとみている。

りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは、市場には円安への安心感が広がっていると指摘した上で、米国によるイランへの攻撃報道について、為替市場が「少し反応している可能性がある」と述べた。「円が徐々に弱くなってきているのは明白」とした上で、介入があっても影響は一時的との見方を示した。

野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは28日付リポートで、米国とイランからの情報発信に齟齬(そご)があると指摘した。最近は為替を巡るけん制発言が限られているだけに、三村淳財務官による口先介入があれば「初動では相応に反応する可能性」があるという。

株式

株式は日経平均が持ち直した。米国のイラン軍事施設攻撃で下落した後、電気機器を中心に買い注文が優勢になった。TOPIXも下げ渋っている。

電機のほか輸送用機器や小売りが買われている。一方で、銀行や情報・通信は安い。

りそなホールディングスの武居大暉ストラテジストは、日本株市場では物色の裾野が広がっていると指摘した。

債券

債券は下落して始まった後、もみ合いから上昇に転じた。

三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、前日の金利低下の反動で売りが先行しやすい中、月末の買いや日本銀行の国債買い入れオペが支えとなり、「売り買いが交錯する」一日になると見通した。

政府・自民党は成長投資や危機管理投資に向け、「つなぎ国債」を発行する方針だと、日本経済新聞が28日付朝刊で報じた。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストはリポートで、「つなぎ国債」は相場の重しとなる可能性があると指摘している。

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