(ブルームバーグ):ロシアの侵攻は勢いを失いつつあると、ウクライナとその支援国は自信を強めている。ロシアによる春季攻勢は行き詰まり、ウクライナは前線を安定させることに成功している。
ウクライナはドローン運用能力が向上し、前線から離れた後方やロシア領内深くへの打撃も増した。頻発する攻撃にロシア国内ではプーチン大統領への批判が高まり、経済減速やインターネット規制と相まって、一般のロシア国民の間で戦争疲れが深まりつつある。
この不安感は、エリート層にも広がっている。事情に詳しい関係者によると、ロシア大統領府の一部高官は戦争の明確な解決策は見えず、行き詰まりに陥ったと考えている。
プーチン氏は今年中に戦争を終わらせたい考えだが、それは自身が勝利したと見なせる条件が得られる場合だけだと、関係者の1人は説明。条件には、10年以上かけても軍事的手段で実現できていないウクライナ東部のドンバス地方の完全制圧も含まれ、ロシアの領土拡大を実質的に認めることになる欧州との広範な安全保障協定も求めているという。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は、プーチン氏はそのような期限や条件を設定していないと主張した。
北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長は22日、スウェーデンのヘルシンボリで開かれたNATO外相会合後、「ウクライナは強固な防御を築いている。前線は現在、安定している」と述べ、ウクライナは新たに占領される領土よりも、奪還している領土の方が「差し引きで」現在は上回っていると続けた。
ウクライナは21日、国内北部の防衛を大幅に強化すると発表。これに先立ちゼレンスキー大統領は、ロシアが同国ブリャンスク州およびベラルーシから侵攻してくるリスクがあると警告した。これが行われれば、ロシアは全面侵攻開始当初に仕掛けたがキーウ制圧に失敗して撤退した作戦を、繰り返す格好になる。
ウクライナはロシア軍による今夏の再攻勢に備え、その攻勢を前にロシアで不人気な入隊キャンペーンが再び行われる可能性にも警戒している。
それでも、冬が明けて戦闘が激化して以降、ウクライナ軍はほぼ前線を維持している。ウクライナ国防省との協力で戦況のマッピングサービスを提供しているディープステート(DeepState)のデータによると、5月半ばまで大半の戦線は安定していた。
フィンランドのストゥブ大統領は4月、戦闘における兵士の死傷者比率がウクライナ有利に大きく改善し、ウクライナ兵1人に対し、ロシア兵5人の割合だと指摘した。ルビオ米国務長官は13日、FOXニュースとのインタビューで、ウクライナはいまや欧州で「最強の軍隊」を保有していると評価した。
増え続けるウクライナのドローン攻撃が戦争の流れを変え、ロシアが4年余り前に全面侵攻を開始して以降、ウクライナを苦しめてきた兵力面の不利を打ち消す助けとなっている。
ただ、ウクライナは戦略目標を達成できているわけではない。ロシアに占領されている領土の大半は奪還できないままで、米国主導の和平交渉は停滞し、受け入れ可能な合意に近づいてはいない。
ウクライナのフェドロフ国防相は今週初めに記者団に対し、ロシア軍の進撃を大幅に「鈍化させ、徐々に主導権を取り戻しつつある」と主張。4月に死亡または重傷を負ったロシア兵は3万5203人前後に上ったとし、目標は「ロシア軍が1平方キロメートル前進するごとに、少なくとも200人の犠牲を出させることだ」と語った。
これらの数字は独立して検証することはできなかった。フェドロフ氏は以前、ロシア軍の死傷者が月間5万人に達すれば、ロシアは戦争を維持できなくなると述べていた。
英国のシンクタンク、国際戦略研究所(IISS)でロシア・ユーラシア担当上級研究員を務めるナイジェル・グルドデービス氏は「ロシアは戦場で厳しい状況に直面している」と指摘し、「ウクライナでの戦争を続けるためには、ロシアが再び部分動員に踏み切らざるを得なくなるのはほぼ確実」で、今後1年以内に行われるだろうと予想した。
原題:Ukraine and Allies Grow Confident Russia’s Invasion Losing Steam(抜粋)
--取材協力:Alberto Nardelli、Chris Miller、Greg Sullivan.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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