(ブルームバーグ):オーストラリアの外食チェーン、グズマンイーゴメズは22日、米国からの事業撤退を発表した。十分な売上高を確保できず、シカゴの複数店舗を閉鎖する。これを受け、同社株は急伸した。
創業者で共同最高経営責任者(CEO)のスティーブン・マークス氏は「米国事業は株主資本による継続的な投資を正当化するだけの業績を上げる見込みが低い」と述べた。
突然の撤退により、今後数年にわたる損失計上の見込みが消えたとして、同社株は22日序盤のシドニー市場で一時21%急伸。同CEOはこれまで、売り上げが伸び悩む中でも米国事業を一貫して支持してきた。自身も直近3カ月を米国で過ごし、事業の立て直しに取り組んでいた。
イートロのアジア太平洋地域担当リードアナリスト、ジョシュ・ギルバート氏は「経営陣にとっては厳しい現実を認める形となったが、正しい判断だ」と指摘。「市場が嫌うのは、終わりの見えない損失であり、米国事業はまさにその状態だった」と述べた。
同社は4月初めの時点ではまだ米国事業に強気姿勢で、新規店舗が増収を達成し、運営も改善していると説明していた。
マークスCEOは22日の発表後に開かれたアナリストとの電話会議で「大変だった」とし、「別の方法を取るべきだった点もある」と語った。シカゴは難しい市場だった上、郊外型のドライブスルー店舗から始めたことでブランド認知を高めにくくなったと説明した。
巨大市場からの突然の撤退決定は、取締役会がついに見切りを付けたことを示している。株主の忍耐も限界に近づいていた。同社株はオーストラリアの主要株価指数であるS&P/ASX200種指数の構成銘柄の中で最も空売りされており、発行済み株式の4分の1に相当する規模の空売りポジションが積み上がっている。
同社株価は21日の13%高に続き22日も大幅に上昇。前日にはRBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、マイケル・トナー氏が豪州での出店拡大計画を理由に投資判断を「アウトパフォーム」に引き上げた。ただ、株価は2024年の新規株式公開(IPO)価格、22豪ドルをなお下回っている。
トナー氏は22日のリポートで「米国事業が成功する見込みは極めて低く、損失がグループ利益の重しとなっていたと考えられる」とし、「想定より早い撤退は評価できる」と述べた。

シティグループのアナリストはリポートで、同社の米国での見通しには懐疑的だったため、米国市場からの撤退という決定を支持するとし、「これにより、マークスCEOが豪州に戻り国内事業に集中する可能性が高い点は好ましい」とした。
近年、複数の豪企業が海外の主要市場で自国モデルの再現を試みたものの失敗に終わり、数十億ドル規模に上る株主資本を失っている。グズマンも今や、こうした企業の一つに加わった。過去には、ホームセンター大手バニングスが豪州での圧倒的な地位を英国に持ち込めなかったほか、豪州最大のカジノ運営会社クラウン・リゾーツもアジア進出を断念している。
グズマンは米国撤退に伴い、3000万-4000万ドル(約47億7000万円-63億6000万円)の費用を計上する。

昨年11月の年次株主総会では、マークスCEOは米国店舗について明るい兆しが出ていると語っていた。「長期戦だが、挑む価値はある」と述べ、「利益を確保しながら規模を拡大できることはオーストラリアで証明済みであり、米国でも同じことが可能だと分かっている」と話していた。
マークス氏は米ロングアイランド出身で、スティーヴン・コーエン氏率いるヘッジファンド会社SACキャピタル、後にオルタナティブ投資会社チェイン・キャピタルに在籍した経歴を持つ。2000年代初めにオーストラリアに移住し、友人と共にシドニーにグズマン1号店を開いた。
同社はなお、オーストラリア国内で既存店舗数の約4倍となる1000店を運営する長期目標を掲げている。
モルガン・スタンレーのメリンダ・バクスター氏らアナリストは22日のリポートで、米国で拡大していた損失がなくなるため、来年の利益は従来予想を約10%上回る可能性があるとした。
同社幹部は発表後の電話会議で、米国での損失が重しでなくなれば、利益が改善し株主配当の拡大につながると説明した。アナリスト二人は、米国撤退を決断した同CEOを評価した。
22日の同社発表によると、6月通期のオーストラリア事業の基礎的利益は約8500万豪ドル(約96億6000万円)と、前期から29%増加する見通し。
3月末時点で、グズマンの店舗数はオーストラリアに242店、シンガポールに23店、日本に5店、米国に8店だった。米国では失敗したものの、同社はなお別の国への進出に備えていると説明した。
同社は22日、「シンガポールと日本のほかにも、適切な市場で適切なモデルによる好機はあると引き続き考えている」とし、「そうした機会が訪れた時には、対応できる態勢を整えている」と明らかにした。
原題:Guzman y Gomez Gives Up on Failing US Business; Shares Soar (1)(抜粋)
(アナリストとの電話会議の内容などを追加して更新ました)
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