トランプ米大統領の中国訪問に同行している企業の最高経営責任者(CEO)は、まさに米企業界を代表する面々だ。アップルのティム・クック氏、エヌビディアのジェンスン・フアン氏、テスラのイーロン・マスク氏氏らが名を連ねる。

一方で、メタ・プラットフォームズのマーク・ザッカーバーグ氏の名前は見当たらなかった。同氏は過去1年半にわたりトランプ氏との関係強化に努め、最近では科学技術諮問委員会(PCAST)にも加わっている。中国との関係構築にも長年取り組み、中国語の習得に数年を費やした経緯もあることから、訪問団に加わるのは自然だとみられていた。

そこに登場したのが、新たにプレジデント兼副会長に就いたディナ・パウエル・マコーミック氏だ。メタで急速に存在感を高めている幹部の一人だ。同氏はトランプ氏の訪中に同行しているだけでなく、先月ワシントンで行われたチャールズ英国王との会合にもメタの代表として出席した。今年に入ってからはダボス会議(世界経済フォーラム)やロサンゼルスで開催されたミルケン研究所のグローバルカンファレンスにも参加している。

メタではかつて、最高執行責任者(COO)だったシェリル・サンドバーグ氏が対外的な役割を担っていた。同氏は数年前に退社しており、ザッカーバーグ氏は外交的な役割を担うことには慎重だった。サンドバーグ氏と長年の友人であるパウエル・マコーミック氏が、この役割を引き継いだ形だ。

その理由は明らかだ。パウエル・マコーミック氏は、テック業界では珍しく国際・地政学分野での経歴を持つ。

ジョージ・W・ブッシュ政権下ではライス国務長官の下で国務次官補を務め、トランプ政権1期目には国家安全保障担当の副補佐官を歴任した。ゴールドマン・サックス・グループではパートナーを務めた。夫はペンシルベニア州選出の現職上院議員だ。現在出入りしている場は、これまで活動してきた舞台と変わらず、いまはそこにメタの肩書が加わったにすぎない。

公式には、同氏の役割はメタが拡張を進めるAIデータセンターの整備に必要な資金調達やパートナーとの関係づくりを担う。これらのプロジェクトには今後数年で数千億ドル規模の費用が見込まれる。

しかし、役割はそれだけにとどまらないようだ。同氏の1月の副会長就任時、ザッカーバーグ氏は「政府や各国との連携」に重点を置くと説明しており、このやや幅広い職責が、今週のトランプ氏訪中に同行した背景となっている可能性がある。

メタのSNSは長年、中国で利用できない状態が続いている。一方で同社は、中国の広告主から年間数十億ドル規模の収益を上げている。中国政府は最近、メタによる中国発のAI新興企業マナスの買収を阻止した。ザッカーバーグ氏は、AI分野での中国の野心を自身のAI事業に対する大きな脅威と位置付けているが、自社のAIモデルの訓練には中国製のモデルも活用している。

パウエル・マコーミック氏がトランプ大統領に同行している理由について、メタの広報担当者はコメントを控えた。ただ、同氏の存在はメタと中国との関係改善に資する可能性がある。

今回の訪中での役割が何であれ、同氏がザッカーバーグ氏の信頼を急速に得ていることは明らかだ。メタの新たな対外的な顔となりつつあり、今後さらに存在感を高めていくだろう。

原題:Powell McCormick Is Meta’s Global Ambassador: Tech In Depth(抜粋)

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