日本銀行の増一行審議委員は14日、金融政策運営について、景気下振れの兆しが明確にならなければ、できるだけ早期の利上げが望ましいとの見解を示した。鹿児島市で講演した。

増氏は未だに緩和的環境であることは確かとし、金融政策正常化を完成させる過程として、経済・物価・金融情勢に応じて引き続き利上げで緩和度合いを調整していくことになると説明。その上で「景気下振れの兆しがはっきりとした数字で表れないのであれば、できる限り早い段階での利上げが望ましい」と述べた。

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日銀が政策判断で重視している一時的な要因を除いた基調物価の動向に関しては、「まだ2%の下にいるものの、かなり2%に近付きつつある」との認識を表明。インフレに入っていることは確かだとし、大切なことは「適時・適切な利上げによって基調的な物価上昇率が2%を超えないように抑えること」だと指摘した。

日銀は4月の金融政策決定会合で、政策金利を0.75%程度に据え置くことを決めた。一方、9人の政策委員のうち中川順子、高田創、田村直樹の3人の審議委員が反対し、1.0%程度への利上げを提案した。増氏も講演で早期利上げの必要性を主張し、次回6月15、16日の会合もあり得ることを示唆した形だ。

みずほ証券の松尾勇佑シニアマーケットエコノミストはリポートで、中東情勢とホルムズ海峡での通航状況の先行き次第としつつも、「6月会合までに景気下振れの兆しがはっきりとした数字として得られる公算は小さい」と指摘。4月に反対した3人に続き、「増審議委員も6月会合で利上げ支持に回る可能性は相応に高そうだ」とみる。

足元の金利スワップ市場が織り込む日銀の利上げ確率は、6月会合が約76%、7月会合までは約94%となっている。

増氏は中東情勢の緊迫化を受けた燃料費の値上がりが物流費の上昇に波及すれば、影響は食品を含めた広範に及び、基調的な物価を押し上げることを懸念。今後、インフレ対応が必要になっても緩和的な位置にいるとし、1.1~2.5%とされる中立金利の推計レンジ内に政策金利を「しっかり入れる」ことが重要との認識を示した。

増氏は三菱商事の常務などを歴任し、昨年7月に審議委員に就任した。

他の発言

  • 先月は慌てて利上げしなければいけない状況ではないと判断
  • 上場投資信託(ETF)、いつまでも日銀が投資家と一緒に保有するのもおかしな話
  • 国債買い入れペース、マーケットの状況も見極めてしっかり検討していく必要

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