伊藤忠商事の岡藤正広会長は8日、「やっぱり総合商社は資源やらなあかん」とアナリスト向けに開いた今期(2027年3月期)の経営計画に関する説明会で述べた。これまで強みとしてきた消費者寄りのビジネスだけでなく、金属やエネルギーなどへの投資も積極化させる意向を示した。

三菱商事や三井物産、住友商事といった財閥系商社への対抗心を燃やしてきた伊藤忠は、「利は川下にあり」を掲げ、ファミリーマートやデサントなど消費者に近い国内事業を強みとしてきた。岡藤氏の発言は、こうした戦略に変化が出てきたことを示唆している。

27年3月期には前期より5割多い1.5兆円の投資枠を設定した。岡藤氏は案件の積み上げによって策定された数値という。資源ビジネスを意欲的に検討しつつも投資規律は維持する考えだ。

岡藤氏が資源投資に目を向けた背景には、三菱商事に時価総額で差をつけられたこともある。伊藤忠は前期決算で、純利益、自己資本利益率(ROE)、時価総額の3冠を目指したが、未達に終わった。

資源事業は投資額が大きくなりやすく、最近では三菱商事が米天然ガス開発事業へ1.2兆円の投資を決め、三井物産は豪州鉄鉱石事業へ8000億円を投じる発表をしていた。資源事業の規模の大きさから、市況が高騰する局面で利益を押し上げる効果に期待が集まったとみられる。

差が付いた要因について考えを巡らせる中で、自社が川下の事業を中心に利益を積み重ねる一方で、利益貢献まで時間がかかる案件でも、株主は「何か大きな投資で夢がある方がやっぱりいいんやな」と気づいたという。

伊藤忠も鉄鉱石や液化天然ガス(LNG)などの事業に取り組んでいるが、総合商社で1兆円近い利益を上げる三菱商事や三井物産よりも資源事業の規模は比較的小さいとされる。

収益ステージを上げる

石井敬太社長も「2026年3月期から収益ステージを一つあげないと右肩上がりを実行できない」と述べ、競合との争いの中で年間500億円以上の増益を達成する必要があると述べた。純利益1兆円超えを目指す上では、事業構成のなかにある程度資源を組み込んでいくことがあり得るとした。

岡藤氏は、これまで資源事業の優良案件は財閥系に流れてしまうと考えてきたが、「初めから駄目だと決めつけるのは間違っていただろうと、自分自身反省する」と述べた。既に参画している事業のパートナー企業との関係などから打診しづらいケースもあり、「必ずしも伊藤忠に来ないということではない」という。

ただ、市況による業績の浮沈が大きいだけに「むちゃくちゃはやらないけど、長期的なこともやっていこうということ」だと説明。遅れを感じているのは、電力需要の高まりを受けて高騰している銅だと話した。

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