(ブルームバーグ):ポーランドのトゥスク首相が最近の外遊で、「米国に次ぐ最も重要な同盟国」だと呼んだのは、ドイツや英国といった欧州の大国ではない。訪問先の韓国だった。ポーランドから遠く離れたアジアの国が、ロシアの脅威に対抗する武装に不可欠な存在となっている。
韓国製の戦車や自走砲、航空機、ロケット発射装置は「今や広大な国土全域でポーランドの領土と国民を守っている」と李在明大統領は誇らしげに述べた。
こうした関係は、韓国が武器輸出国として台頭している以上の意味を持つ。ユーラシア全域で脅威にさらされる民主主義国家の間で、協力関係が地理的に変化していることを示している。広く言えば、軍事的な危険が高まり、従来の同盟が揺らぎ、自衛の手段を提供できる国々がより大きな利益と国際的影響力を手にする局面だ。
世界の兵器売上高が急増しているのは驚くに当たらない。東欧と中東で大規模な紛争が相次ぎ、西太平洋にも武力衝突の影が濃く垂れ込める。戦争の発生件数は全体として増加傾向にある。ユーラシア周縁の米同盟国は有事に備えると同時に、今後は米国への依存をこれまでほど当てにできない可能性も念頭に置いている。
とはいえ、米国が世界の武器市場で支配的地位にあることに変わりはない。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、2021-25年に米国は世界武器輸出の42%を占めた。その前の5年間は36%だった。

ただし、米国製兵器の購入には、高価格や厳格なエンドユーザー規制、数年単位の納入遅延が伴う。欧州の一部同盟国は、もはや完全には信頼できない超大国への依存度を下げようとしている。
脆弱(ぜいじゃく)さをはらむ国々は、新たな供給元と連帯先を模索している。これが新興の防衛輸出国に好機をもたらしている。その筆頭が韓国だ。北朝鮮との数十年にわたる対峙(たいじ)は、手頃な価格で高性能の兵器を生産する堅固な軍需産業を育てた。
韓国は最も厳しい局面にあったウクライナを支えるため、数十万発の砲弾を供給した。現在はロシアの脅威に直面する欧州諸国や、中国に警戒感を抱くアジア各国との防衛協力を拡大している。
国際環境の悪化
ポーランドと韓国の共生関係は自然な流れだ。国内総生産(GDP)の5%近くを防衛に投じるポーランドは、旧ソ連製兵器への依存を減らしている。
ポーランドによる武器輸入の47%は韓国からだ。韓国は27年までに世界4位の武器輸出国になることを目指している。米国の戦略家でさえ、自国の造船能力不足を補う解決策として韓国にあるトップクラスの造船所に注目している。
日本も動き始めた。長年にわたり、自衛隊を支える強固な産業基盤を築きながらも、武器輸出は禁止されてきた。しかし国際環境の悪化に伴い、その制約は緩和されている。高市早苗政権が決めた全面的な武器輸出解禁は、日本が東欧から東南アジアに至る国々への供給国となる道を開く可能性がある。
日本はオーストラリアに「もがみ」型護衛艦の改良型を29年に引き渡す契約を締結した。フィリピンも日本製の艦艇や防空・ミサイル防衛システムを購入する見通しと報じられている。
中国の圧力に対する防波堤としての役割を強める日本に続き、西太平洋の他国も同様の動きを見せる可能性がある。欧州各国も米国以外の選択肢として日本の産業に関心を寄せている。
日本政府は戦略的多角化も静かに進めている。輸出拡大は国内防衛企業を強化し、米国に依存しないアジアの防衛サプライチェーン構築を促す。
他の防衛大国もそれぞれの好機を見いだしている。欧州の首脳らがイスラエルを国際的に孤立した存在と見なす発言をする一方で、軍はイスラエルが敵を圧倒するために用いる装備を求めている。イスラエルの世界武器輸出シェアは過去10年で3.1%から4.4%に上昇し、顧客には防空システムなどを購入した欧州23カ国が含まれる。
ドイツの輸出もここ数年急増しており、その大半はウクライナ支援によるものだ。防衛支出の増加はラインメタルなどの有力企業を強化し、欧州の不安の高まりと軍事予算の拡大はドイツ製兵器の欧州市場を拡大させる。

西側から大量の兵器を受け取ってきたウクライナでさえ、今や安全保障の供給側に立ちつつある。イラン製ドローン(無人機)の群れは、ロシアの攻勢をかわすためウクライナが開発した低コストの対ドローンシステムへの需要を、中東湾岸地域でまず喚起し、やがて世界的に拡大させるとみられる。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、サウジアラビアとカタール、アラブ首長国連邦(UAE)と防衛協定に調印した際、「今、ウクライナのように支援できる国はない」と強調した。現代戦の実相をいち早く学んだ経験は、ドローンやミサイルの脅威に直面する国々にとって不可欠なパートナーとしての地位をウクライナに与えている。
武器と資金の流れは、国際秩序の変化を映し出している。戦争の危険が高まる一方で、米国に対する信頼は米同盟国の間で低下している。良くも悪くも、新たな軍事協力のパターンが形成されつつあり、混迷の時代に兵器を供給できる国々の影響力が増している。
(ハル・ブランズ氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストで、米ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院教授です。このコラムの内容は個人の意見で、必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの見解を反映するものではありません)
原題:US Allies Are Becoming All-Star Weapons Sellers: Hal Brands(抜粋)
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