イラン戦争によるエネルギー価格上昇を背景に、中国でインフレ回帰の兆しが出ているが、デフレ圧力を完全に反転させるには、より持続的な物価上昇が必要になる。国際通貨基金(IMF)幹部がこうした見解を示した。

IMFアジア太平洋局長のクリシュナ・スリニバーサン氏は4月30日、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「インフレの一部指標は上昇している」と指摘。中国がリフレ局面にあるかどうかについては、一定の兆候があるとしながらも「より持続的に確認できるまでは明確な判断は控えたい」と語った。

世界2位の経済大国である中国では、3年以上続いていた生産者物価指数(PPI)の前年割れに歯止めがかかり、経済全体で続いたデフレ状態から脱却する見通しだ。焦点は、企業収益や賃金の加速も伴う広範なリフレにつながるかにある。

IMFアジア太平洋局長のクリシュナ・スリニバーサン氏がブルームバーグの番組「インサイト・ウィズ・ハスリンダ・アミン」で語る

IMFは従来、内需主導への成長再均衡を求めてきたが、今年は逆の動きがみられる。中国では、小売売上高は鈍化する一方、輸出は急増している。その結果、多くの川下産業は原材料コスト上昇分を消費者に転嫁できず、苦戦が続く。

ブルームバーグが4月に実施した調査によると、多くのエコノミストは中国の消費者物価が今年も低い伸びにとどまると予想する。2026年は中央値で1%の上昇にとどまる見通しだ。主食である豚肉の供給過剰がインフレを抑制し、この2年の大半にわたり豚肉価格は下落している。

スリニバーサン氏は「中国の課題は経済のリフレと国内消費拡大による持続的成長の確保だ」と指摘。住宅市場の立て直しに向け、中国政府に対し、強力な対策を講じるよう求めた。

中国の成長は今年、人工知能(AI)やハイテク関連製品への世界的需要の拡大に支えられている。アジア全体で輸出が急増し、イラン戦争による影響を相殺する要因となっている。

同氏によると、IMFはアジアについて、「エネルギー集約度が高い」ことを踏まえ、一時的な変動ではなく長期的な経済混乱に備えている。

アジア域内全体の成長率は27年までに累計で1-2ポイント鈍化する一方、インフレ率は約1-4ポイント上昇する可能性があると同氏は述べた。

最大の懸念について問われると、同氏はエネルギー価格の高止まりや金融環境の引き締まり、AI主導のテクノロジーサイクルの転換など、アジア経済が直面する複合的なリスクを指摘した。

原題:IMF Still Waiting for China’s Inflation to Show It’s Coming Back(抜粋)

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