(ブルームバーグ):アジア系投資ファンドPAGは、今後3、4年をめどに日本国内で不動産やプライベートエクイティー(PE、未公開株)を中心に新たに2兆円規模の投資を計画している。日本には大きな投資機会があるとみて、事業展開を加速する方針だ。
PAG社長で共同創業者のジョン・ポール・トッピーノ氏がブルームバーグの取材に答えた。不動産分野だけでも昨年、積極的なリスクテイクにより高収益を狙う「オポチュニスティック戦略」のファンドで40億ドル(約6370億円)を調達。現在、中程度のリスクで運用する新たなファンドを約25億ドルで組成中だという。どちらも日本が主な投資先の一つだとしている。
コーポレートガバナンス(企業統治)コードの定着や東京証券取引所の市場改革などを背景に、日本企業に対し、不動産や不採算事業の売却によって資本効率を上げるよう求める動きが強まっている。フジ・メディア・ホールディングス(フジHD)は、物言う株主の野村絢氏らから不動産事業の再編を求められ、同事業売却の検討を始めた。
トッピーノ氏はこうした日本の投資環境の変化によって「間違いなく投資機会が増えている」と指摘。企業統治改革は10年前から徐々に進んできたが「ここ数年で圧力が一段と強まっている」とし、「われわれはアクティビストではないが、こうした変化が大きな投資機会を生み出している」と述べた。
相応の規模を投資へ
PAGが米投資会社KKRと組んで買収するサッポロホールディングス(HD)子会社のサッポロ不動産開発(東京都渋谷区)については、5年以上の長期保有を前提としていると語る。同社が運営・保有する大型複合施設「恵比寿ガーデンプレイス」は流行の発信地である渋谷や恵比寿といった繁華街に近いものの、「十分に潜在力を発揮できていない」と強調。商業施設やオフィスの改装に「相応の規模」の設備投資を行うとした。
サッポロHDは昨年12月、PAGや米投資会社KKRの陣営に子会社のサッポロ不動産開発を借入金も含めて4770億円で売却すると発表した。今年6月以降、段階的に全株式を手放すとしている。同社は恵比寿ガーデンプレイスのほかにオフィスや住宅の所有と運営などを手掛けている。
トッピーノ氏は恵比寿ガーデンプレイスでは賃料引き上げやオフィス部分の改修、商業施設の全面的な再構想など、あらゆる面に価値の引き上げ余地があると見ているという。例として現在のテナント構成や映画館、ロビーといった施設は「十分なパフォーマンスを発揮していない」との認識を示した。
また、足元の国内不動産市況については、新規に参入するファンドなどもあり「全体としてやや過熱気味だ」と指摘。「入札になると競り負けることが多いのが現実」のため、案件の多くを相対での交渉で進めているとした。
また、日本でも調達金利の上昇で投資家の利回りに対する目線が上がっている一方で、競争激化で物件を割高な価格で購入せざるを得なかった場合、それに見合う賃料の上昇を得られなければ、期待外れのリターンに終わるリスクもあると述べた。
PAGの現在の資産運用残高は550億ドル超で、香港のほか日本やシンガポールに主要な拠点を持つ。日本では13年にユニバーサル・スタジオ・ジャパンに投資した実績があるほか、23年に長崎県のテーマパークであるハウステンボスを1000億円相当で買収した。
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