(ブルームバーグ):生命保険会社の多くは2026年度も日本国債の投資に慎重姿勢を維持する。国内外の財政懸念や中東情勢の不透明感に加え、日本銀行による追加利上げの可能性など金利の先高観が根強いからだ。
生保各社の新年度運用計画が出そろい、説明会を行った10社のうち最大手の日本生命保険をはじめ、かんぽ生命保険や第一生命保険、朝日生命保険、太陽生命保険の5社は長期金利が30年ぶりとなる3%まで上昇する展開を予測した。
国内主要投資家の生保の買いが細る債券市場では、ヘッジファンドなど相場の変動に機敏な海外投資家の動向に左右される可能性が高まっている。金利のボラティリティーが上昇すれば、企業の資金調達コストや世界的な金融市場の安定に悪影響を及ぼしかねない。
日銀は21日に公表した半年に一度の「金融システムリポート」で、ヘッジファンドなどのポジション(持ち高)の巻き戻しが国債市場の流動性低下を通じて長期金利の上昇圧力となる可能性に言及。海外勢の取引が拡大する中、外部ショックが市場に波及しやすくなっているとも指摘した。日銀は28日に金融政策を決定し、植田和男総裁が会見する。
一方、長期金利の3%は日銀が1999年にゼロ金利政策に踏み込む前の水準で、生保各社にとって国内債券で安定的に利回りを確保できる市場環境に回帰することを示唆している。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは、生保の運用姿勢について「慎重派と積極派に分かれている」と分析。金利上昇が続けば、昨年度と同様に買いの手が引っ込み、オルタナティブなど他の金融資産へのシフトが続くとの見方を示した。半面、金利上昇が止まれば「生保の買いが少しずつ動き出す可能性がある」と言う。
日生の石田大輔執行役員・財務企画部長は、中東情勢の混乱が長期化するリスクシナリオを考慮し、国内債券を「積極的に積み増すことは考えてない」と述べた。日生は国内債券の残高を前年度に続き削減する計画だ。
生保10社中、6社は1年前に長期金利が25年度に2%まで上昇すると予想し、実際は2.3%台と年度の上昇幅は約0.9%ポイントに達した。日本証券業協会のデータによると、生保と損害保険各社を含む「保険会社」は主な投資対象である超長期債を3月まで8カ月連続で売り越している。
第一生命の市村直人運用企画部長は中東情勢次第でエネルギー価格の上昇が続き、インフレが加速すれば「日銀の利上げが前倒しされ、ターミナルレート(利上げ到達点)に影響してくる」と警戒感を示した。第一生命では低利回り債から高利回り債への入れ替えを1兆円規模で実施し、円債の残高は前年度に続き横ばいにとどめる方針。
25年度に2700億円の残高積み増しを計画していた太陽生命は、実際の積み増し額が半分以下だった。低利回り債から高利回り債への入れ替えが中心だったためで、佐藤義剛運用企画部長は26年度も入れ替えが中心と説明。政府が説得力のある財政再建計画を示さないと安心して買えず、国債投資を増やしている海外勢が「売りに転じることがリスク要因」と語った。
積極派
対照的に、国債投資に前向きな姿勢を示したのが明治安田生命だ。金利の上昇余地は限定的との見方から、26年度に超長期債の残高を数千億円増額する計画。北村乾一郎執行役員・運用企画部長は「前年度は金利先高観から買い入れをかなり抑制したが、26年度は逆転させていく」と話している。
かんぽ生命も金利上昇は最終局面との判断から国内債券の運用を積極化する。残高は横ばいの計画だが、野村裕之執行役・運用企画部長は2兆円弱の償還資金を「国債を中心に振り向ける」考えだ。
野村氏は、長期金利が想定上限の3%に達するようなことが「必ず起きるとは言えないが、起きないとも限らない」とした上で、「財政政策や金融政策、世界的にも不確実性があり、ボラティリティーの高さは残っている」と述べた。
【各社の資産増減】
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.