SOX指数連騰の背景には、景気への不安感の高まりがある模様
4月24日の米国株式市場は、イラン情勢に関する大きな進展がなく、ダウ平均は小幅に低下した。もっとも、ハイテク株比率の高いナスダック指数は反発し、2日ぶりに最高値を更新し、SOX指数は18日続伸となるなど、投資家がリスクを取る動きは続いている。SOX指数やナスダック指数が堅調な背景には、引き続き、景気に不透明感が強い中でリスクマネーがハイテク関連株に集まりやすくなっていることがあるとみられる。
個人消費など需要への不安があることから、ハイテク関連株の中でも、企業の設備投資に依存しやすい半導体関連が特に選好されているようである。
これまでも、景気への不安がある一方でリセッション懸念も限定的となる中、景気敏感株にもディフェンシブ株にも投資家ニーズに合わず、消去法的にハイテク関連株が選好されてきたとみられる。最近の半導体関連株の強さは、この動きがより選別的になってきていることを示していると考えられる。株高に乗り遅れる恐怖「FOMO(Fear Of Missing Out)」は強いが、米経済そのものを楽観視しているわけではない、というのが市場参加者の総意なのだろう。
FRB議長の交代という材料だけでは金利低下は続かない公算
4月24日の債券市場では、米ワシントンの連邦検察がパウエルFRB議長に対する刑事捜査を終結すると明らかにしたことで利下げ観測が高まり、金利が低下した。長期金利は前日差▲2.4bp、2年金利は同▲5.5bpだった。FF金利先物市場では、年内の利下げ回数の織り込みが約0.46回となり、前日の約0.23回から増加した。依然として利下げが確実視される状況とは言い難いが、パウエル議長の退任後にウォーシュ氏が新議長となれば、トランプ政権が求める利下げが実現する可能性が高まるという見方が強くなった模様である。
むろん、現時点でパウエル議長が利下げに積極的とは言えないため、ウォーシュ氏が議長になった方が、利下げの期待値は高まるとみる向きが多いのは事実だろう。もっとも、利下げ観測が先行してインフレ懸念が高まってしまうことは、利下げによってイールドカーブの全体を押し下げたいとみられるトランプ政権にとっても望ましいことではないだろう。ウォーシュ氏が経済状況を無視して利下げを主張する可能性は低い(主張したとしても他のメンバーが同調する可能性は低い)。結局は、イラン情勢悪化後のインフレ圧力が限定的であることと、景気が強すぎないことを確認する必要があり、FRB議長の交代という材料だけで金利が低下していくことはないだろう。
原油高の影響は各国にほぼ共通なので、中銀は通貨の安定を重視へ
今週は、4月27-28日に日銀金融政策決定会合が行われ、同28-29日にはFOMC、同30日にはECB理事会も行われる。市場の織り込みは、日銀の利上げ確率が約7.0%(円OIS市場)、FRBの利下げ確率が0.5%(FF金利先物市場)、ECBの利上げ確率が約9.2%(ユーロOIS市場)といった状況で、いずれも現状維持だろう。もっとも、イラン情勢悪化前と比べて、日本円は弱く、ドルはやや強く、ユーロはほぼ横ばいという状況であることを考量すると、各国中銀のスタンスにはやや濃淡がありそうである。
どの国・地域にとっても原油高はインフレ率を押し上げ、景気を悪化させる方向に作用するが、その上で通貨まで安くなってしまうと、インフレ懸念が高まりやすい。各国中銀はインフレ予想などを見定める姿勢を示しながら、本音では通貨の安定を意識したコミュニケーションをとることになるだろう。この観点からは、日銀はタカ派バイアスがかかりやすく、FRBはニュートラル、ECBはややタカ派姿勢を弱める(ハト派方向)になるとみておくのが無難である。
(※情報提供、記事執筆:大和証券 チーフエコノミスト 末廣徹)