3月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比の伸びが5カ月ぶりに拡大した。中東情勢の緊迫化の影響でエネルギー価格の低下幅が縮小したのが主因。日本銀行の利上げ姿勢への影響に市場は注目している。

総務省の24日の発表によると、コアCPIは前年比1.8%上昇と市場予想(1.7%上昇)を上回った。日銀目標の2%を下回るのは2カ月連続。原油価格高騰を受けて、エネルギーは5.7%低下と前月からマイナス幅が縮小した。ガソリンと灯油が押し上げに寄与した。一方、生鮮食品を除く食料は5.2%上昇と前月の5.7%上昇から伸びが縮小した。

横浜市内のスーパー

中東情勢の行方はなお不透明で、物価上昇の程度と持続性、それを受けた景気への影響が今後の焦点となる。日銀は27、28日の金融政策決定会合で0.75%程度の政策金利の維持を決める見通しだ。一段の物価高が景気を圧迫する懸念が強まる中、今後の政府・日銀の対応が注目される。

総務省では今回のCPIについて、中東情勢の緊迫化の影響は、原油高によって灯油とガソリンに明らかに出ているが、それ以外の品目については今のところ把握できていないと説明している。

SMBC日興証券の関口直人エコノミストは、原油高が化学製品や消費財の価格に波及するのは早くても2027年以降となり、短期的には「コアCPIで2%割れの水準が続くという見方は変えていない」と指摘。日銀の利上げは6月会合の可能性が依然高いとし、「4月はその期待を沈めないような利上げ姿勢を示す会合になる」とみている。

生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIは2.4%上昇と前月の2.5%上昇から伸びが縮小。プラス幅の縮小は5カ月連続。市場予想と一致した。総合指数は1.5%上昇と伸びが拡大。前月は1.3%上昇だった。2%を下回るのは、3カ月連続。市場予想は1.4%上昇だった。

サービス価格は横ばい

賃金動向を反映しやすいサービス価格は1.4%上昇と、前月から伸びが横ばい。高水準の企業収益などを背景に、今春闘の賃上げも昨年と同様に高水準となっており、賃金と物価が持続的に上昇する構図が定着していくかが注目されている。

大和証券の南健人シニアエコノミストは発表後のリポートで「2月時点の物価基調がおおむね維持されていると判断される」と説明。ただし、中東情勢の緊迫化を起因とするエネルギー資源価格の上昇と供給制約が、「短期的には物価の上振れに寄与する可能性が高い」としている。

24日の外国為替市場の円相場は対ドルで159円台後半で推移。原油高を受けてドル買いが優勢になっている。全国CPIへの目立った反応は見られなかった。

ブルームバーグがエコノミスト51人を対象に15-20日に行った調査では、日銀の次の利上げ時期は最多の55%が6月会合を予想した。3月調査で37%と最も多かった4月会合は20%に減少。全体の88%が7月会合までの追加利上げを見込んでいる。

金利スワップ市場が織り込む今月会合での利上げ確率は足元で約5%にとどまり、今月初めの70%超から大幅に低下している。6月会合までが約67%、7月会合までは約94%となっている。

総務省の説明

  • 総合とコアの前年比伸び率が前月から拡大した要因は、エネルギーの下落幅が縮小したため
  • 生鮮食品を除く食料は8カ月連続で伸び率が縮小。コメ類の価格が2月から3月にかけて下落したことなどが要因
  • 家庭用耐久財の押し上げ寄与は、ルームエアコンのモデルチェンジなどが影響

(エコノミストのコメントを追加して更新しました)

--取材協力:氏兼敬子.

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