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数カ月後に退任を予定している米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は、2012年の地図アプリ「アップル・マップ」のリリースを同社トップとして自身の「最初の大きな失敗」と振り返った。
当時、この地図アプリは世界の多くの地域で正常に機能せず、誤った経路案内やランドマークの誤表示など、スマートフォン「iPhone」で当時提供されていたグーグルのサービスと比べて著しく劣る体験となっていた。
クック氏は、後継者に最近指名されたジョン・ターナス氏と共に開いた今月21日の全社集会で、「製品は準備が整っていなかったが、よりローカルな要素をテストしているため問題ないと考えていた」と述べた。
このリリースが結果的に、クック氏の在任期間で初の大規模な経営刷新につながり、ソフトウエア責任者のスコット・フォーストール氏が解任された。同氏はクック氏の前任で共同創業者のスティーブ・ジョブズ氏と近い関係にあった。

クック氏はまた、誇りに思う瞬間は「数多くある」とも述べ、スマートウオッチ「Apple Watch」とその健康機能が際立っていると語った。2014年の発表当時、主な健康機能は心拍数モニターだったが、その後は高血圧の検知など多様な機能が追加された。
クック氏は「ユーザーから『Apple Watchが命を救ってくれた』というメッセージを初めて受け取ったことが記憶に残っている」と述べ、「今では毎日のようにそうした声を受け取っているが、最初の一通は特に強く印象に残り、思わず足を止めたほどだった」と語った。
クック氏は11年8月にジョブズ氏の辞任を受けてCEOに就任した。同氏は今年9月1日まで同職にとどまる予定。
長年にわたりCEOを務めるクック氏は、時価総額3500億ドル(約56兆円)の企業を引き継ぎ、4兆ドル規模にまで成長させた。また、タブレット「iPad」の大型・小型モデルや多様なiPhone、ワイヤレスイヤホン「AirPods」、オンラインサービスなど新分野への進出も進めた。
クック氏は自身の失敗について「非常に長いリストになる」と述べたが、過去15年間に他の消費者向け電子機器メーカーを悩ませてきたような大規模なリコールや製品中止は、同社ではほぼ回避できたとした。
アップル・マップのほかの失敗例としては、ワイヤレス充電マット「AirPower」の投入失敗や、10年にわたる自動運転車開発の試みが挙げられる。いずれも会社の後退につながる危機には至らなかった。
また、クック氏はCEO交代の時期や、今後どの程度の期間にわたり会長職を務めるかについても言及したと、ブルームバーグ・ニュースが21日に報じた。
クック氏は、アップルマップの失敗は結果的に貴重な経験となったと振り返った。当時ユーザーに謝罪し、アプリストアで競合の地図アプリの利用を勧めたことについて、「当社ユーザーにとって正しい判断だった。われわれの意思決定の中心に常にユーザーを据えるという一例だ」と語った。
原題:Tim Cook Regrets Maps Flub, Sees Apple Watch as Proudest Work(抜粋)
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