(ブルームバーグ):日本株市場で半導体関連銘柄の復調が鮮明だ。米国のハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)が進める巨額の人工知能(AI)投資に陰りが見えず、国内でも関連企業の利益成長が続くとの期待が背景にある。
東証株価指数(TOPIX)の業種別指数は4月に入り、半導体企業やAI関連銘柄が含まれる非鉄金属指数と電気機器指数が共に20%超上昇し、イラン戦争を受けた3月の下落分を全て取り戻した。月初来の上昇率は全33業種の1位と2位だ。
キオクシアホールディングスやルネサスエレクトロニクス、アドバンテストの上昇率はTOPIXの7%高の5倍を超える。
中東情勢を巡っては紛争終息に向けた投資家の期待がある半面、ホルムズ海峡の実質封鎖は続いており、原油高とサプライチェーン(供給網)の混乱がさまざまなセクターに悪影響を及ぼすとの懸念が根強い。こうした中で、利益成長の確実性が高い半導体関連株に買いが殺到している。
MSCIジャパン半導体指数の今年の予想1株利益(EPS)は、米国とイスラエルがイランに対する軍事行動を開始した2月末から18%増加した。TOPIXの予想EPSは同期間に0.5%減少しており、半導体セクターの堅調ぶりが目立つ。
先週には半導体供給網の要である台湾積体電路製造(TSMC)とASMLホールディングがそろって今年の売上高見通しを引き上げ、市場の強気ムードに拍車がかかった。
楽天投信投資顧問第二運用部の平川康彦部長は、AI銘柄には米半導体大手エヌビディアの決算発表が予定される5月下旬まで悪材料は考えづらく、「行き場のない資金が集中しやすい」と指摘。「イラン情勢のはっきりしない状況が続けば続くほど、増益の確実性が高い半導体・AI関連により資金が向かうのではないか」と話す。
BNPパリバのアジア太平洋現物株調査の責任者、ウィリアム・ブラットン氏も、「テクノロジーセクターの12カ月先予想EPSが他のセクターを大きく上回るペースで上がっている現状では、テクノロジー株がアウトパフォームを続けると考えるのが合理的だ」とみている。
設備投資の長期的な展望に関する懸念が消えたわけではない。米ジェフリーズのグローバル株式戦略責任者であるクリストファー・ウッド氏は、昨年後半に浮上したAI投資のリターンを巡る疑念が今後さらに強まり、AI関連設備投資が今年ピークを迎えるリスクが高まっていると警鐘を鳴らす。
BNPパリバのブラットン氏によると、同社のアナリストは今年後半から来年にはAI関連投資が減速するとみているという。ただ、ブラットン氏は実際に減速が見え始めるまで東アジアのテクノロジー株はモメンタムを維持するとの予想を示す。
また、アセットマネジメントOneの佐々木裕一ファンドマネジャーは、巨額の設備投資が半導体企業にもたらす利益は今後の株主還元強化の原資にもなり得ると語る。例に挙げるのが新型コロナ禍後の海運企業だ。
コロナ後のコンテナ船運賃市況の高騰を受け、海運各社が「巨額のキャッシュフローを手にしたことで株主還元余力が拡大し、株価はその後もすう勢的に上昇した」と佐々木氏は話す。半導体関連株も、メモリー価格などが今後ピークアウトしても還元面での投資魅力を維持し、株価を支える可能性があると述べた。
(第3段落を追加しました)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.