12日のハンガリー議会総選挙で敗北したオルバン政権は、欧州連合(EU)によるウクライナ向けの900億ユーロ(約16兆8000億円)の融資について、今週にも阻止を解除する用意があることを示唆した。

オルバン首相は19日、ウクライナから「ブリュッセルの仲介を通じて」得た情報として、ロシア産原油の輸送が早ければ20日にもドルジバ・パイプラインで再開する可能性があると述べた。1月下旬のロシアによる攻撃で損傷した同パイプライン経由の供給再開を、ウクライナ支援の条件としていた。

EUの行政執行機関、欧州委員会の報道官はドルジバ・パイプラインを通じた原油供給再開を後押しするため、「当事国と連絡を取り合ってきた」と確認。全ての加盟国は昨年12月の首脳会議で合意された900億ユーロの融資に関する約束を順守すべきだと付け加えた。

これらの資金はロシアによる侵攻から4年以上が経過し、第2次トランプ政権が2025年に発足して以降、米国の支援が事実上打ち切られる中で、ウクライナが戦闘を継続する上で不可欠となっている。ブルームバーグは先月、ウクライナの手元資金は6月までの支出を賄うのが精一杯だと報じていた。

オルバン政権のボーカEU相は石油供給がそれまでに再開すれば、EU大使級会合が開かれる22日にも対ウクライナ支援の凍結を解除するかもしれないと投稿した。

オルバン首相は「ハンガリーの立場は変わっていない。石油があれば資金もあるということだ」と述べた。

一方、総選挙で地滑り的勝利を収め、16年に及ぶオルバン政権に終止符を打つことになった新興野党の「ティサ(尊重と自由)」のマジャル党首も17日、ハンガリー石油大手MOLのヘルナーディ会長兼最高経営責任者(CEO)からの情報として、ドルジバ経由の供給が今週再開する可能性があると述べた。

マジャル氏によると、ヘルナーディ氏はパイプライン再稼働後のロシア産原油輸送について協議するため、モスクワを今週訪問する予定だ。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ドルジバ経由の供給が4月末までに再開する可能性を指摘している。

対ハンガリー資金

ハンガリーがEUのウクライナ向け融資の阻止を解除すれば、オルバン政権下での汚職や法の支配を巡る懸念から、EUが200億ドル(約3兆1800億円)超相当の資金を停止して以降、悪化していたハンガリーとEUの関係は改善する見通しだ。

マジャル氏は、ハンガリーを欧州の枠組みに戻し、司法の独立性や汚職対策、学問・メディアの自由など、法の支配を強化するためのEUの条件を満たすと表明している。ティサは議会で3分の2の多数を確保しており、野党の支持なしに法案を単独で可決できるため、迅速な対応が可能となる。

欧州委の高官代表団は18日、ブダペストで資金を巡る2日間の協議を終えた。交渉は今週も継続する見込みだ。5月半ばに新政権の発足を見込むマジャル氏も協議に参加しており、保留されている資金の約半分が8月末以降に失効する厳しい時間的制約の下で交渉が進められている。資金は低迷するハンガリー経済の立て直しに不可欠だ。

マジャル氏は19日、フェイスブックへの投稿で、ブリュッセルを来月に訪問し、欧州委やEU首脳らとハンガリー向け保留資金の活用に向けた「包括的な政治合意」を取りまとめる考えを示した。

「政権に就いた後、これらの公約を完全に実行するとともに、ハンガリー国民に属するEU資金を取り戻す約束を果たす」と言明した。

原題:Hungary Moves to Unblock EU Aid to Ukraine, Tap Frozen Funds (2)(抜粋)

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