米国など海外の一部ファンドで信用不安が表面化しているプライベートクレジット問題を巡り、国や地域ごとに温度差が生じている。一部の主要国が警戒感を強める一方、日本ではエクスポージャーが少なく、片山さつき財務相兼金融担当相は国際社会での共通課題にまでは至っていないとの認識だ。

「プライベートクレジットファンドは、単発的な損失の増加によってリスクが高まり、セクター全体への信認を揺るがす可能性がある」。米ワシントンでの20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議など一連の国際会議の開催に先立ち、イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁がG20財務相らに書簡を送付し、こう警告した。

カナダ銀行(中央銀行)のマックレム総裁も3月、プライベートクレジットがストレス下でどう影響を受け、金融システム全体にどのようなリスクをもたらすかが問題だと述べ、警戒感を示した。

プライベートクレジットは銀行融資や社債発行と異なり、投資ファンドなどが投資家から集めた資金を企業などに供給する仕組み。主な借り手は中堅企業などで、銀行融資に比べ金利が高く、投資家が得る利回りも社債を上回るなどの特徴がある。市場規模は1兆8000億ドル(約286兆円)に上るとされる。

20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見に臨む片山さつき金融担当相

ただ、プライベートクレジットの借り手や貸し手が破綻する例が出たことから、個人投資家などによる解約請求が一部のファンドに殺到し、ファンド側が償還制限を設けたことも相まって、不安が増幅した面がある。

一方、日本の金融庁は、国内金融機関の関連残高は「限定的」で、リスク管理も高度であるとの認識を示している。

ワシントンを訪問中の片山氏は15日、国際会議などでプライベートクレジットのリスクに言及する出席者はいるものの「共通課題になってこの場で取り組むべきだ、ということはない。そこまでではないという認識だ」と話した。

国際通貨基金(IMF)で対日審査を担当するラフル・アナンド氏もブルームバーグのインタビューで「われわれは全ての加盟国に対して伝えている通り、動向には注意を払い続けることが重要」とする一方、「日本では規模が非常に小さく、大きな影響は見られていない」との見方を示した。

ただ、第一ライフグループがプライベートクレジットへの新規投資について運用委託先の選定をより厳格化する方針を示すなど、国内金融機関の間で慎重な動きも出ている。金融庁も国内金融機関による投資の取り組み状況などを引き続き確認するとしている。

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