(ブルームバーグ):米ワシントンを訪問中の日本銀行の植田和男総裁は、中東情勢の緊迫化を踏まえた金融政策判断について、物価の上振れと景気の下振れの双方のリスクがある中で非常に難しいと語った。政策の方向性は示さなかった。
植田総裁は現地時間16日夜(日本時間17日朝)、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の会見で、金融政策はデータや情報を基に各会合で見通しの実現確度とリスクを点検して判断すると説明。原油高に伴う物価上振れリスクと交易条件悪化による景気下振れリスクの両方があり、「政策対応は非常に難しい」と述べた。
今回の記者会見は、日銀が今月27、28日に開く金融政策決定会合前の重要な情報発信の場として市場で注目を集めていた。植田総裁は、中東情勢の経済・物価などへの影響を直前まで見極めて政策判断を行う姿勢を改めて示した。

実質金利は中期ゾーンまで非常に低い水準にあるとし、「金融環境は非常に緩和的であることも考慮しつつ」政策を決めていくとした。緩和的環境は「いくつかの海外の経済と違う」とも指摘した。
一方、15日の主要7カ国(G7)財務相・中銀総裁会議では、金融政策は様子見の声が多かったとされているが、「日銀としてその点に関しては発言していない」と説明した。
片山さつき財務相は15日、G7会議後の取材で、利上げが経済に与え得る悪影響の懸念から金融政策について「様子見」とする声が多く上がったと明らかにしていた。
東京外国為替市場の円相場は対ドルで159円台前半で小安く推移。原油価格の高止まりや日銀の利上げ観測が後退していることが重しとなっている。植田総裁の発言への大きな反応はなかった。
足元の金利スワップ市場に織り込まれている日銀の利上げ確率は、今月会合が約20%、6月会合までが約76%、7月会合までは100%超となっている。
総裁は、市場の4月利上げ予想が低下していることの見解を問われ、「短期的な市場動向に関することであり、コメントは控える」とした。現状のような供給ショックへの金融政策対応は、「そもそも難しい」と重ねて強調。2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現する観点から「最も適切な対応を選択する」と述べた。
国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミスト、ピエール・オリビエ・グランシャ氏は14日の記者会見で、日銀を含む主要な中央銀行が政策金利を引き上げる差し迫った必要性はないとの認識を示している。
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--取材協力:氏兼敬子.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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