(ブルームバーグ):ポールソン元米財務長官は、米国債の需要が崩れる可能性に備え、バックアップ計画を策定するよう当局に求めた。需要が急減すれば「深刻な」影響が出ると警告した。
ポールソン氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「壁にぶち当たった際にすぐ実行できるよう、的を絞った短期的な緊急対応計画が必要だ」と述べた。
31兆ドル(約4900兆円)規模の米国債市場が機能不全に陥れば、約20年前に財務長官として対応した金融危機とは性質が異なる事態になるとの見方を示した。
当時も深刻な状況ではあったものの、政府に信用危機に対処するだけの財政余力があったと同氏は指摘。しかし、米国の公的債務危機が発生した場合には、「壁にぶち当たり、国債を発行しようとしても連邦準備制度理事会(FRB)しか買い手がおらず、国債価格が下落し金利が上昇するような状況になる。そうなれば、極めて危険だ」と続けた。

米国の財政専門家は長年、いわゆる「ドゥーム・ループ(破滅的な悪循環)」の可能性を警告してきた。政府債務膨張に伴うリスクを背景に投資家が米国債により高い利回りを要求し始め、それが政府の利払い費増加を招き、結果として財政赤字がさらに拡大するという構図だ。
利払いや元本償還に必要な資金を財務省が十分に調達できなくなる極端なシナリオでは、FRBが緊急の買い手として介入せざるを得ないとの見方が多い。
「いつ壁にぶち当たるのかと問われても、私には分からない。それを予測することは不可能だ」とポールソン氏は発言。「いったんその局面に達すれば、影響は深刻なものとなる。だからこそ、その事態に備える必要がある」と強調した。
同氏は、いわゆる緊急対応計画の具体的な内容には踏み込まなかった。ただし、「良いニュースもある。米国は豊かな国であり、財政赤字に対して行動を起こせば、取り得る手段は多い」と述べた。
その上で、「歳入の増加、すなわち増税と歳出の見直しが必要になる」と指摘。さらに、社会保障制度や医療制度の改革も不可欠との認識を示した。「税制上の優遇措置や抜け穴を是正すれば、成長を大きく損なわずに歳入を増やせる」と語った。
米財政赤字は過去3年間、国内総生産(GDP)の約6%で推移しており、戦時や景気後退期およびその余波を除けば、歴史的にもまれな高水準となっている。議会予算局(CBO)によると、この水準は今後10年間もおおむね維持される見通しだ。同局はまた、米債務残高の対GDP比が2030年に108%と過去最高に達すると予測している。
原題:Henry Paulson Says US Should Prepare for a ‘Vicious’ Bond Crash(抜粋)
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