(ブルームバーグ):日産自動車は14日、車種削減や主力市場への注力などを軸とする長期ビジョンを公表した。業績不振が続く中、合理化を進める一方、開発のスピードアップなどを図る。
日産によると、低収益の車種を廃止して成長領域に投資を振り向け、モデル数を現在の56から45に削減する。1つの車種に複数のパワートレインの設定を設けるなどして顧客への選択肢を確保し、将来的に車両プラットフォームなどを共通化した3つの商品群で販売台数の80%以上をまかなう方向だ。
日産のイバン・エスピノーサ社長は記者団に対し、今回の発表は再建計画の後に続く「成長の話だ」と述べた。「車種の総数は減るが、販売台数は増加する。つまり、企業の規模を縮小するわけではない。より効率的にする」と語った。
日産は販売低迷で業績が悪化しており、従業員2万人や工場7カ所の削減を柱とする再建計画を進めている。構造改革費用に加え、トランプ関税による影響もあって業績は厳しい状態が続いており、前期(2026年3月期)は2期連続の大幅な純損失になる見通しだ。日産ではこれまでも楽観的な経営計画を示して未達に終わるケースが多く、今回の長期ビジョンにも市場から厳しい視線が注がれそうだ。

ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生シニアアナリストは従来は新興国市場に注力するあまり、メインマーケットへの資源配分が希薄化していた時期もあったが、軌道修正されるのであればプラスとしつつ、「台数目標の呪縛が再発しないか気がかりだ」との懸念も示した。
背伸びした目標が未達となって「活用されない生産能力を築き、商品開発工数の無駄遣いになった教訓を生かすべきだ」と続けた。特に中国の100万台は市場構造や消費者の好みの変化を考えると「ハードルは高い」と述べた。
日産の発表後、同社株は上げ幅を拡大し一前日比2%高の353.8円を付けた。終値は351.8円だった。
市場では日本と北米、中国の主要な3市場に注力する方針も明らかにした。米国は持続的な成長のための基盤と位置付け、30年度までに年間100万台の販売を目指す。関税問題を抱える中で生産の現地化による強みも活用する。

電気自動車(EV)投資については引き続き規律の取れたものとし、市場の状況や政策の変化に柔軟に対応する。高級車ブランドのインフィニティでは26年に投入予定のスポーツタイプ多目的車(SUV)「QX65」のほかハイブリッド車など計4モデルを投入しててこ入れを図る。日本ではコンパクト車のシリーズを導入するなどで30年度までに年間販売55万台を目指す。
EV「N7」などの好調で販売を盛り返している中国では、開発スピードやコスト競争力を生かし、輸出を担う拠点とする。EVなど新エネルギー車の品ぞろえを強化し、中国外への輸出も増やすなどして30年度までに年間販売100万台を目指す。
日産はまた、人工知能(AI)ドライブ技術を搭載するモデルをラインアップの約9割まで拡大することを目指す目標も掲げた。
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