(ブルームバーグ):NATO(北大西洋条約機構)のルッテ事務総長の対米姿勢について、欧州から疑問の声が上がっている。
2月28日に米国とイスラエルが同盟国と協議しないままイランを攻撃し、欧州首脳らが混乱と経済的打撃を懸念して身構えていた中、ルッテ氏はテレビでトランプ米大統領の決定を擁護し、欧州は「極めて喜んでいる」と述べた。
しかし実際にはそうではなかった。匿名を条件に述べた事情に詳しい関係者によると、欧州の同盟国は、ルッテ氏のトランプ氏に対する融和的な姿勢が適切なのか、あるいは実際に効果を上げているのか疑問を抱き始めている。
ルッテ氏はトランプ氏と関係を築いたものの、トランプ氏はウクライナ支援を削減し、ロシアの財政を潤し、イランとの戦争で世界経済を揺さぶった。関係者の一人は、ルッテ氏がイラン戦争に強気の姿勢を示したことで、トランプ氏にNATOは自分の行動を支持してくれると期待させた可能性があると懸念を示した。

トランプ氏はNATOの意義を繰り返し疑問視し、加盟国に圧力をかけ、つい先週も離脱をほのめかした。8日にはルッテ氏がホワイトハウスを訪れ、あらためてNATOの立て直しに向けた対応に当たる。ルッテ氏は、ホルムズ海峡での船舶保護や対イラン攻撃への基地提供を加盟国が拒否したことに対するトランプ氏の怒りを和らげようとするだろう。
問われているのはNATOの結束だけでなく、世界における欧州の立場そのものでもある。NATOに対する米国の関与への疑念が強まる中で、欧州は、同盟国の防衛を拒む米国という、第2次世界大戦以来直面したことのない軍事・経済の現実に備えようとしている。
NATOの元報道官で英王立防衛安全保障研究所(RUSI)のオアナ・ルンゲスク氏は「これはまさに、米国と欧州の敵が見たいと望んでいる光景だ」と述べ、「ロシアと中国にとっては夢のような状況だ」と語った。
欧州の外交当局者によると、ルッテ氏の長期的な目標は、今年7月にアンカラで予定されているNATOの年次サミットを確実に開催することにある。この緊張した状況を踏まえれば、それだけでも成果と言える。
最終的には、ルッテ氏がトランプ氏を称賛しようと批判しようと、その劇的な決断を止めることはできないとの認識が共有されていると、別の欧州外交当局者は語った。
「過酷で報われない仕事だ」と、ルンゲスク氏は語った。
原題:As Trump Bullies NATO, Europe Questions a Deferential Rutte (2)
(抜粋)
--取材協力:Andra Timu、Jasmina Kuzmanovic、Samy Adghirni、Alex Wickham、Daniel Basteiro、Sara Sjolin.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.