イスラエル国民は、イランとの停戦合意が同国からの脅威を終わらせることにならないとの懸念を抱いているようだ。イスラエルのネタニヤフ首相は合意を支持した上で、イスラエルによるレバノン侵攻には影響しないと表明しているが、不安は広がっている。

8日は宗教上の祝日に当たるため、イスラエル当局者の発言や公の議論はあまり多くなかったが、国民の間には警戒感、さらには裏切られたとの思いがある。

米国とイランの交渉がイラン側の要求に基づいて進められるとみられていることや、トランプ米大統領が戦争終結を急いでいる可能性があることも、イスラエル国内で強い不安を引き起こしている。

ヤイル・ラピド氏

今回の戦争を強力に支持してきた野党党首のヤイル・ラピド氏は「わが国の歴史において、これほどの政治的惨事はかつてなかった」とXに投稿した。

中道左派の野党、民主党のヤイル・ゴラン党首は「核開発計画は破壊されなかった。弾道ミサイルの脅威も残っている。体制は維持されており、この戦争を経てむしろ強化されつつある」と述べた。

国防相を務めた右派のアビグドール・リーベルマン氏は、イランが保有するこうした能力が解体されなければ、イスラエルはいずれ「より厳しい条件と、より大きな代償を伴う」新たな軍事作戦を開始せざるを得なくなるだろうと指摘した。

イスラエルのテレビは、先行きを懸念する市民らの声を伝えた。政治家によるこうした指摘を国民が共有していることを示している。

同国では10月までに総選挙が実施される予定で、野党党首らによるこうした発言の一部はポーズに過ぎない可能性もあるが、多くの国民の懸念を反映しているのも事実だ。

2023年10月にパレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスがイスラエルに奇襲攻撃を仕掛け、1200人を殺害して以降、イスラエルはイランが支援する代理勢力の壊滅を狙い、多方面で戦闘を行っている。

イスラエルは米国と共に、6週間近くにわたって対イラン戦争を繰り広げており、イランの脅威に終止符を打つものとしてこの戦争を位置付けてきた。

最近の各種世論調査によると、多くのイスラエル国民はこの戦争に伴う個人的・経済的犠牲を受け入れる用意があると答えており、時期尚早の終結は失敗のように捉えられている。

パキスタンとの食い違い

イスラエルはレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラとの間で続けている戦闘は今回の停戦合意に含まれないと主張するが、協議を仲介したパキスタンのシャリフ首相発言と食い違っている。

同首相の認識が間違っていたのか、イスラエルがその部分について合意内容を覆すことに成功したのか、あるいは単に無視しているのかは明らかでない。

イスラエル軍は8日もレバノン南部での攻撃を続けた。最近の作戦開始後、ヒズボラのインフラを標的とした最大規模の攻撃となった。侵攻により、これまでに100万人以上が避難を余儀なくされ、1500人以上が死亡している。

イスラエルの元防空司令官イラン・ビトン氏によれば、このところ主戦場がイランだったため、イスラエルはレバノンに十分に集中できなかったが、今後は北部国境に注意を向けることが可能になる。

「これは空軍がレバノンでより大規模な行動に踏み出すことができる、またとない機会だ」と同氏は述べた。

原題:Israelis Criticize Netanyahu for Truce Seen Empowering Iran(抜粋)

(下から3段落目に、イスラエルによる8日の対ヒズボラ攻撃が最近の作戦開始後で最大規模だったことを追加して更新します)

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