(ブルームバーグ):2週間のイラン停戦合意を受け、市場が想定していた戦争激化やホルムズ海峡を通じたエネルギー供給のさらなる混乱といった最悪の事態はひとまず回避された。8日の日本市場は日経平均株価が5%超急騰し、債券と円も上昇するトリプル高となった。
ただ、先行きには不透明感が残る上、原油価格も足元で急落したとはいえ戦争前の水準を大きく上回っており、市場参加者の一部は慎重姿勢を崩していない。
市場参加者の見方は以下の通り。
IG証券のマーケットアナリスト、ファビアン・イップ氏
- 停戦合意は市場にとってポジティブな材料と受け止められ、楽観的な見方が広がる中、特に売り込まれていた人工知能(AI)関連株を中心に株式市場は反発している
- ただし、日本株上昇の持続性はホルムズ海峡の早期再開に左右されるほか、先行き不透明感も残っており、足元の急ピッチな株高を受けて利益確定の動きが出る可能性もある
- 原油価格など外部要因による不確実性が和らげば、日本銀行は政策正常化に向けた判断を進めやすくなる可能性がある
アストリス・アドバイザリー・ジャパンの投資戦略責任者、ニール・ニューマン氏
- ショートポジションを巻き戻す株式のリリーフラリーだが、短命に終わるとみている
- 見通しは停戦が維持されるかどうかにかかっているが、現時点でそれが続くとの確信は乏しい
- 短期的にはボラティリティーは高止まりする可能性が高い。ボラティリティーを活用してパフォーマンスの劣る銘柄を手放し、戦略的にポジションを構築することを勧める
三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之チーフストラテジスト
- 戦争がすぐに終わらなくても、停戦発表は市場にとって安心材料であり、株式は買われやすくなるだろう。イランが交渉の場に出てきたことは大きな前進で、原油価格の高止まりも長くは続かないとの見方が広がっている
- 2月末からの下落局面で売り込まれた銘柄には買い戻しが入り、短期的には相応の反発が見込まれる。特にテクノロジーやAI関連など、投げ売りされたモメンタム銘柄が有望とみられる
- ただし過度な期待は禁物で、不安定な状況がしばらく続く可能性がある。ほとんど全ては原油価格次第だ
インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジスト
- ホルムズ海峡の全面的な再開が確認されれば、市場の楽観ムードが一段と強まり、原油価格の下落やリスク資産の上昇につながる可能性がある
- 一方、2週間の停戦期間中に恒久的な合意に至るかは不透明で、停戦が崩れればリスク資産は再び下落圧力にさらされる公算が大きい
- リスクオフ局面でドルに対して下落していた円などの通貨は反発が見込まれるほか、金・銀・プラチナもこれまでの下げの大きさを背景に比較的強い戻りが期待される
三井住友信託銀行の瀬良礼子シニアマーケットストラテジスト
- マーケットはユーフォリア状態になっており、日経平均は5万7000円をめどに上昇していく可能性はある
- もっとも、最悪のシナリオは避けられたものの、不確実性はそのまま残っている。6万円を目指すような上昇は難しいだろう
- 債券はいったんは買いだろう。ただ、エネルギー価格は元には戻らず、インフレ懸念がなくなるわけではないため、ここからどんどん金利が下がるのは厳しい
SMBC信託銀行の山口真弘投資調査部長
- イランやイスラエルの今後の出方など読み切れない部分が多い。いったんは株高や原油下落、金利低下といった反応だろうが、それが持続することはないだろう。ホルムズ海峡の動向が一番の焦点になる
- 仮に戦争が本当に終結するとなれば、いったん株価が全戻しする動きが出てもおかしくはない。ただ、中東を取り巻く状況が戦争前に戻ることはなく、原油は高止まりとなるだろう
- 投資家心理が回復しても、企業業績の見通しが今のままでいいのかという点は大きな疑問になる。株価が全戻しの動きになっても、しばらく上昇ペースは鈍く、決算発表も踏まえて業績を見極めることに
あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジスト
- 原油高に引っ張られて上昇したドルだったので、戦争が落ち着けばドル安・円高に進む。ドル・円の下値は158円だろう
- ただ、原油高であることに変わりなく、貿易赤字への懸念から円買いの地合いではない
(新たな市場関係者のコメントを反映します)
--取材協力:Winnie Hsu、深瀬敦子、Umesh Desai、堤健太郎.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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