(ブルームバーグ):プライベートクレジット(ノンバンク融資)を巡る危機が顕在化するかどうかを見極める上で、銀行の財務状況が重要な指標になるとの見方が最新のマーケット・パルス調査で示された。
危機の兆候となり得るシナリオの中で、システム上重要な金融機関の破綻が主要な指標になると答えたのは回答者244人のうち半数近くに上った。

空売り専門の投資調査会社ユニカス・リサーチの創業者ラクス・ガナパティ氏は「銀行は、単一のバランスシート項目には表れない形で、プライベートクレジットのパフォーマンスに構造的に組み込まれている」と指摘。「プライベートクレジットが悪化すれば、銀行も影響を受ける」と述べた。
1兆8000億ドル(約287兆円)規模のプライベートクレジット市場では、未公開企業である米自動車部品メーカー、ファースト・ブランズ・グループや自動車ローン会社トライカラー・ホールディングスの破綻を受け、投資家の間で不安が広がり、資金引き出しの動きが相次いでいる。イラン戦争の勃発に伴い原油価格が急騰し、リスク資産から安全資産への資金移動が進んだことで、懸念は一段と強まった。
金融システムが直面する圧力がより明確になるのは、米大手銀行が今月、1-3月(第1四半期)決算や信用状況の最新情報を公表する際かもしれない。ムーディーズ・レーティングスのリポートによると、銀行は2025年末時点で事業向け信用仲介業者に対する融資残高が約3480億ドルと前四半期比7.5%増となり、未実行の与信枠も1570億ドルに上った。
償還への不安
投資家による資金引き出し圧力は昨年後半に高まり、ここ数カ月で加速している。ブラックロック傘下のHPSインベストメント・パートナーズやアポロ・グローバル・マネジメント、アレス・マネジメントなどは、5%の引き出し制限の適用を選択した。
一方、オークツリー・キャピタル・マネジメントやブラックストーンは、同様の仕組みを持つファンドについて引き出し要請に全額応じる方針を取っている。
ブルー・アウル・キャピタルは2日、同社のプライベートクレジットファンド2本で償還制限を設けると発表した。投資家がブルー・アウル・テクノロジー・インカムで最大40.7%、ブルー・アウル・クレジット・インカムで21.9%の引き出しを求めたためだ。同社株は1.6%下落した。
シーバート・フィナンシャルのマーク・マレク最高投資責任者は「忍耐強い資本を前提に構築されてきた市場が、今や我慢できない投資家によって試されている」と指摘。「多くのファンドは四半期ごとに純資産の約5%の引き出し制限を設けており、通常時であれば誰も気にも留めない」と述べた。
急速な資金流出は、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長らの関心も集めている。同議長は、現時点でより広範なシステム危機につながる兆候は見られないとしつつも、「注視し続ける」と述べた。
危機への対応
調査回答者の半数強は、今後半年以内にプライベートクレジット危機が発生する可能性はやや低い、または極めて低いとの見方を示した。また約4分の3は、過去1カ月間にプライベートクレジット業界への懸念を受けた現金保有の調整をしていないと答えた。

それでも、市場が混乱すれば影響は広範に及ぶとみられる。回答者は、S&P500種株価指数が約10%調整し、特に金融株が打撃を受ける可能性があるとみている。
ジャンク債市場にも影響が及ぶ。53%の回答者によると、スプレッドが現在の水準から少なくとも200ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)拡大し500bp超、場合によっては750bpに達する可能性があるという。
原題:Watch Banks’ Health for Clues on Private Credit: Markets Pulse(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.