中国のTCLエレクトロニクス・ホールディングスはソニーグループのホームエンターテインメント事業への出資を通じ、韓国勢を追い抜き、世界最大のテレビブランドへの躍進を狙う。一方、長年続いてきた日本勢の家電支配は一定の区切りを迎える。

TCLは、ソニーのテレビ「ブラビア」を含むホームエンターテインメント事業を取り込む新たな合弁会社の株式51%を754億円で取得することで合意した。2027年4月にスタートする同合弁は、ソニーおよびブラビアのブランド名でテレビを製造するが、TCLのディスプレー技術を活用する。

中国の東方証券は先月のリポートで、「世界のテレビ市場で中国ブランドが首位を獲得する余地が生じている」と指摘。テレビ市場で退潮している日本勢が中国メーカーとの提携を模索していることに加え、韓国のサムスン電子が一部販売経路で価格圧力に直面していることを理由に挙げた。

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

業界調査会社シグマインテル・コンサルティングによると、世界のテレビ市場でのTCLとソニーの合算シェアは約16.7%に達し、サムスンの16.2%を上回って世界首位となる可能性がある。TCLは2025年に3070万台を出荷し、業界トップとなる成長率6.4%を記録したという。

ソニー事業への出資により、TCLは欧州および米国の市場での競争力を強化する足掛かりを得る見通しだ。ブラビアは長年、高価格帯市場で存在感を示し、TCLは中国でも屈指の歴史と規模を持つ電機コングロマリットとして海外展開を着実に進め、米国では低価格帯テレビの主要ブランドの一つとなっている。

TCLの香港上場株は今年1月にソニーとの提携を発表して以降、約27%上昇。同社は2日、コメント要請にすぐに応じなかった。

主役交代

TCLやハイセンス・ビジュアル・テクノロジー(海信視像科技)など中国のテレビメーカーは、ミニLED(発光ダイオード)といった新たなディスプレー技術の研究開発と投資を進めてきた。

収益性の高い超高級市場でシェアを高めているミニLEDは、数千個の微小LEDをバックライトとして用いることで、従来のLEDテレビよりも明るさやコントラストのコントロール精度を大幅に向上させ、大型画面に特に適している。

もっとも、テレビ業界は依然として激しい価格競争にさらされる収益性の低いビジネスで、TCLが海外の高級市場でブランド認知や価格決定力を確立するには課題が残る。海外展開の実績も一様ではなく、2000年代半ばにフランスのトムソンからテレビ事業を買収した際には、技術変化の速さや統合の不備により損失を計上した。

今回のソニーとの合弁は、かつて世界をリードした日本のテレビ産業が、低収益構造に苦しむ中で他のアジア勢にシェアを奪われ、事業の切り離しを進めている流れの中で行われる。

ハイセンスは2017年に東芝のテレビ事業を買収。台湾の鴻海精密工業はシャープを傘下に収めており、台湾のイノラックス(群創光電)は昨年12月にパイオニアの経営権取得を発表した。

パナソニックホールディングスも北米および欧州のテレビ販売事業を中国の家電メーカー、スカイワース(創維集団)に今年4月から移管する計画だと日本経済新聞が2月に報じた。

原題:TCL-Sony Deal Marks China’s Rise to Prominence in TV Market(抜粋)

--取材協力:Kelly Li、Daniela Wei、Jing Jin.

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