ウォール街の大手トレーディングデスクは、3月31日に米国株が急反発したのは四半期末にかけて極端に弱気のポジションが積み上がっていたことが主な要因だと指摘した。イラン戦争を巡り投資家心理が変化したわけではないとみている。

31日にS&P500種株価指数は2.9%高と急騰し、昨年5月以来の大幅上昇を記録した。この流れが4月1日のアジア市場でも続きMSCIアジア太平洋指数は5.2%上昇と、1年ぶりの大幅高となった。

トランプ米大統領が戦争の早期終結を示唆したことが上昇を後押しし、1日の欧州株も主要指数の上げが一時2%を超えた。

ゴールドマン・サックス・グループやJPモルガン・チェースのトレーダーらは、この上昇は主に踏み上げによるものだとの見方を示している。つまり、さまざまな市場参加者による弱気ポジションの解消が急反発を主導した。

ゴールドマンがまとめる最もショートされている50銘柄のバスケットは、31日に7.1%高と過去1年で2番目の大幅高。利益の出ていないテクノロジー銘柄の指数上昇率も、6.6%に上った。

動画:トランプ米大統領は、2-3週間以内にイランから撤退させる方針を示した

米国とイランの双方が戦争終結を模索しているとの一報に反応し、弱気ポジション解消を市場参加者が急いだと、ゴールドマンとJPモルガンのトレーダーは指摘。

また、シティグループがまとめたデータによると、機関投資家が保有するS&P500構成銘柄のショートポジションは3年ぶりの高水準付近にあった。米国上場の上場投資信託(ETF)全体では、ショートされた銘柄の数が過去最高に達していたと、ジェフリーズ・フィナンシャル・グループは指摘した。

SLCマネジメントのマネジングディレクター、デック・マラーキー氏は、「S&P500の一段安を見込んで積極的にショートしていた投資家もいたが、ボラティリティーが落ち着き、地合いが改善する中で、こうした向きがポジション解消を急いだ」と述べた。

ヘッジファンドや、CTA(商品取引顧問)などのトレンド追随型ファンドは、これまで株式を積極的に空売りしていた。一方、年金基金は株式購入に向かう巨額の資金が月末に流入した見込みで、オプションディーラーの間で懸念されていたショート・ガンマの圧力も31日の満期とともに乗り切ったため、さらなる上昇機運が生まれている。

要するに、相場上昇のきっかけを待っていた短期資金が、2-3週間以内に戦争終結とのトランプ氏の発言に飛び付いたということだ。

31日にナスダック100指数は3.4%急騰し、ハイテク大型株の「マグニフィセント7」は時価総額を7000億ドル余り膨らませた。1日の取引では国際原油価格の指標である北海ブレント原油が一時1バレル=100ドルを下回った。相場の変動の激しさを示すVIX指数は、週初から6ポイント余り低下した。

JPモルガンの工業セクター専門のセールス担当者、ペイジ・ハンソン氏は「投資家は戦争が始まった当初から速やかな終結を期待してきた。だが、市場や世界経済の観点からは、リスクを再評価し、リセッション(景気後退)の可能性を実際に低下させる真の決着とは何なのかを定義することが重要だと思う」と指摘。

「この『終わり』をどう定義すればいいだろうか。株式や世界経済の今後の道筋について、われわれ全員が気にかけている」と続けた。

上昇率は大きいが、市場の出来高を伴ってはいない。ゴールドマンのトレーダーらは、31日の全体的なトレーディング活動を10段階中4程度と評した。

ゴールドマンのデリバティブ部門のトレーダーらは、S&P500、ナスダック、VIX、上場投資信託(ETF)で「大規模なヘッジの解消」が見られたと報告。トレーダーのシェイナ・ピアート氏は、「日が進むにつれて、ポジション解消が進行した」と指摘した。

この反発が持続するには、緊張緩和の道筋についてより詳細かつ明確な情報が求められそうだ。ホワイトハウスのレビット報道官によると、トランプ氏は1日午後9時に演説を行い、戦争の最新状況を説明する。

トレーダーらは、ホルムズ海峡再開の時期と原油価格下落の幅と期間を注視している。また、1-3月(第1四半期)の業績や経済全般に戦争が及ぼしている影響について、近づく決算シーズンに投資家らは手がかりを求めることになりそうだ。

原題:Bearish Positioning Is Driving Stocks More Than Peace Prospects(抜粋)

Massive Short Squeeze Fogs Market’s View on Iran Peace Prospects(抜粋)

--取材協力:Farah Elbahrawy.

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