(ブルームバーグ):中東の湾岸諸国がイラン戦争を巡って米国への不満を募らせていると、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。各国は米国による安全保障の確保に疑念を抱くとともに、トランプ米政権の戦略が欠如しているようにみえることに懸念を示しているという。
湾岸諸国は過去1年にわたり、米国とイスラエルによる対イラン攻撃を回避するよう働き掛けてきた。しかし軍事作戦は1カ月前に始まり、湾岸諸国は現在、イランからの攻撃を受け続けている。サウジアラビアは27日に無人機6機ほどを迎撃し、クウェートでは2カ所の港湾が標的となった。
地域経済の生命線であるホルムズ海峡はほぼ封鎖された状態が続き、石油収入に数十億ドルの損失が生じている。
同関係者によれば、この戦争に関するトランプ大統領の論拠や目的、コミットメントに多くの当局者が疑問を抱いている。
また、湾岸諸国は米軍基地を受け入れていることでイランの標的となっており、自国内にこうした基地を置くことの意義についても再考しているという。機微に触れる問題を話しているとして、関係者は匿名を条件に語った。
ただ、トランプ氏の怒りを買うことを恐れ、公の場でこうした懸念を表明している当局者はおらず、米軍に対して基地からの撤退を求める可能性もほぼないとみられている。
湾岸諸国の多くの当局者は、トランプ氏がイランによるヒズボラ(親イランのイスラム教武装組織)やハマス(パレスチナ自治区ガザのイスラム組織)といった代理勢力への支援や、弾道ミサイル製造といった問題を抑え込まずに合意を結ぶことを警戒している。関係者が語った。
合意によってトランプ氏は、米国内で支持を得られず、世界中でエネルギー価格を押し上げている戦争を終わらせ、勝利宣言をすることができる。そのため、こうした事態に至る可能性はあると当局者はみている。
こうしたシナリオが現実のものとなった場合、イランはホルムズ海峡に一定の影響力を維持しつつ敵意を強める格好となり、湾岸諸国はその対応を迫られることになる。
トランプ氏が2期目の就任後最初に予定して訪問した国が、サウジとアラブ首長国連邦(UAE)、カタールだった。これらの国々は人工知能(AI)やデータセンターなどの分野で、合わせて数兆ドル規模の対米投資を約束した。
しかし、こうした投資表明でどういった見返りを得られたのか、湾岸地域の多くで疑問が広がっていると関係者は話す。
複数の関係者によると、湾岸諸国の主な不満の一つは、戦争となった場合にイランが報復することへの懸念を米国が軽視していたことにある。米国はイスラエルの主張をより重視したという。
イスラエルのネタニヤフ首相はトランプ氏と緊密な関係にあり、イランが核兵器の保有を目指していると長年にわたって訴えてきた。イラン側は否定している。
情勢が不安定な中東にあって観光客や金融投資家を引き付けてきた湾岸アラブの一部都市では現在、上空を数千もの無人機やミサイルが飛び交う状況となった。
関係者によれば、一部の政府は地政学的な関係を米国以外にも広げ、中国との結び付きを一段と強化することも検討し始めている。
原題:Gulf Countries’ Frustration With the US Grows as War Wears On(抜粋)
--取材協力:Ben Bartenstein、Nick Wadhams.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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