(ブルームバーグ):トランプ米大統領はイラン戦争の終結に向けた協議が進んでいると述べたが、イスラエル当局者は攻撃を継続すると主張した。双方の攻撃に緩和の兆しはなく、金融・エネルギー市場には再び動揺が広がった。
イスラエルのカッツ国防相は「全力で」軍事作戦を継続すると表明。コーヘン・エネルギー相は、トランプ氏の発言は「時間をかけてゆっくりと」捉えられるべきだとの認識を示した。匿名のイスラエル当局者によると、ネタニヤフ首相は同国の利益が確実に守られるよう米国とイランの交渉の監視を側近であるデルメル戦略問題相に指示した。
「我々は依然として戦争状態にある。以上」とコーヘン氏は24日、同国公共放送Kanラジオとのインタビューで語った。
イランは23日夜から24日未明にかけ、イスラエルが続ける爆撃への報復として、同国のテルアビブ、エイラート、ディモナの各都市や、中東にある米軍基地に向けてミサイルやドローンを発射した。
イランのファルス通信によると、中部イスファハンのガス圧力調整施設と行政庁舎が、米・イスラエルの攻撃で損傷した。南西部ホラムシャールの複合サイクル発電所にガスを供給するパイプラインも攻撃を受けたという。
戦争がさらに激化し、世界的な供給ひっ迫を悪化させる恐れがあるとの懸念から、ブレント原油価格は再び1バレル100ドル台に上昇した。
事情に詳しい関係者によると、イランは先週、大規模ガス田のサウスパースがイスラエルの攻撃を受けた後、トルコへのガス輸出を停止した。24日は戦争の早期終結期待が遠のき、株式や債券は下落した。
トランプ氏はイラン側と「実りある会話」ができたとして、同国のエネルギーインフラに対する攻撃を延期した。だが、イスラエルは攻撃継続を表明。トランプ氏が舞台裏で進めたとする交渉はイラン当局者によって否定され、同氏が示唆したようなイランとの協議が実現するのか、するならどのような形になるのかは、不透明なままだ。
米国は合意成立に必要な時間として5日間の猶予をイランに与えるとトランプ氏は述べたが、一方で米海兵隊がペルシャ湾岸地域に向かっている。また、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が米当局者2人を引用して報じたところによると、国防総省は陸軍の精鋭部隊で3000人を擁する第82空挺師団の戦闘部隊を中東に派遣する計画で、地上作戦が実行されるとの見通しが高まっている。
サウジ、皇太子は戦争継続働きかけか
イランの攻撃にさらされ続けているサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)などペルシャ湾岸の米同盟国は、イランに対する姿勢を硬化。
事情に詳しい関係者によると、サウジは自国の電力や水処理施設が標的にされる場合、イランを攻撃する用意があると米国に伝えた。サウジのムハンマド皇太子はトランプ氏に対し、戦争を継続して地域の抜本的変化を支援するよう働き掛けていると、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が両者の会話について当局者の説明を受けたとする関係者の情報として報じた。
ホワイトハウスは大統領の非公表の会話内容だとしてコメントを控えた。

外交交渉
トランプ氏は23日、ウィトコフ中東担当特使と娘婿のジャレッド・クシュナー氏がイランの「最高位の人物」と前日に協議したと述べ、同国は「合意成立」を望んでいると主張した。だが、最高指導者のモジタバ・ハメネイ師は協議に関与していないとしていた。
この協議の相手はイラン議会のガリバフ議長だとアクシオスは報じたが、同議長は協議の存在を否定した。
イランのアラグチ外相は過去数日、トルコ、オマーン、パキスタン、エジプト、ロシア、アゼルバイジャン、トルクメニスタン、韓国などと電話会談を重ねている。
イランはまた、イスラエルによる先週の空爆で死亡した最高安全保障委員会(SNSC)のラリジャニ事務局長の後任として、イスラム革命防衛隊(IRGC)元副司令官の強硬派モハンマド・ゾルガドル氏を指名した。同氏は軍人で外交経験はほとんどなく、穏健派と強硬派の両方とつながりを持ち、政治の内部事情に精通したラリジャニ氏とは全く異なる人物とされる。
パキスタンは戦争終結に向けた仲介に力を入れている。事情に詳しい関係者によると、トランプ氏はパキスタンのムニール陸軍参謀総長と電話会談を行った。同国のシャリフ首相は24日、交渉を仲介できれば「光栄だ」とソーシャルメディアに投稿した。
インドのモディ首相もトランプ氏とイランを巡る戦争について協議したと明らかにした。戦争が及ぼすホルムズ海峡への影響も議論に上ったという。

世界の石油・液化天然ガス(LNG)の約5分の1が通過するホルムズ海峡の航行は、事実上停止している。戦争開始以降に同海峡を通過したタンカーはごくわずかで、その多くはイランと取引して合意を得た上で通航した。
イランは海峡を通過する一部の商業船舶に対して通航料金の徴収を開始。世界で最も重要な海上エネルギー輸送路に対する支配力を、あらためて見せつけた。
25日目に入ったこの戦争では、すでに4350人以上が死亡した。このうち約4分の3をイランが占め、1000人余りは親イランのイスラム教シーア派組織ヒズボラの掃討をイスラエルが続けるレバノンで発生した。
原題:Israel Says War Isn’t Ending Even as Trump Touts Peace Talks (2)、Iran, Israel Trade Strikes Amid US Claims of Peace Talks(抜粋)
--取材協力:Michael Cohen.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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