(ブルームバーグ):インターネット専業の松井証券が外部資本の受け入れに向け、国内の複数の大手金融機関と協議を始めたことが分かった。非公開の情報だとして匿名を条件に複数の関係者が明らかにした。
関係者らによると、創業家が保有する株式の売却も含め、複数の金融機関と幅広い選択肢について打診や協議をしており、具体的な手法や内容は今後詰める。ただ、打診を受けた金融機関からは、株価が割高だとして取得に慎重な見方も出ており、最終的な合意に至らない可能性もある。
松井証券の時価総額は18日時点で約2450億円。半期報告書などによると創業家は約58%の株式を保有しており、足元の株価で単純計算すると創業家の持ち分は1420億円に相当する。株価が割高か割安かを判断する指標であるPBR(株価純資産倍率)は3倍を超えており、東京証券取引所の証券・商品先物取引業セクターではトップだ。
ブルームバーグの報道を受けて松井証券の株価は一時前日比4.9%高の1003円まで上昇し、2019年7月以来の高値を付けた。
若年層に強いインターネット証券の顧客基盤や技術を取り込もうと、3メガバンクグループなどがネット証券と資本提携する事例が相次ぐ中、松井証券は大手ネット専業証券5社の中で唯一、他社の資本を受け入れていない。大手金融が独特な存在感を持つ松井証券と手を組めば、業界勢力図に新たな変化が起きる可能性がある。
松井証券の広報担当者は電子メールで、創業家は業務執行に関与していないとした上で、「創業家が一部株式を売却するという意向があれば、能動的に新しい株主を考えないといけない」と説明した。創業家はコメントを控えた。
松井証券は国内で初めて本格的なインターネット取引を始めたパイオニアだ。活発に株を取引したい個人投資家に根強い人気がある。
特に、同一銘柄を取引したその日のうちに反対売買して投資収益を狙うデイトレードでは存在感が大きく、同取引コストの業界最安をうたっている。クレジットカードなどを通じた積立投v資などに強みを持つSBI証券や楽天証券とは一線を画すポジションを確立した。
松井証券は1918年に創業した松井房吉商店がルーツの老舗だ。4代目で中興の祖である松井道夫氏が2020年に社長を退任し、創業家でない和里田聰氏が跡を継いだ。
和里田氏は昨年12月のブルームバーグとのインタビューで、「企業価値の向上に資するなら、当社の株式を売却して他社との資本業務提携を検討してもいいと創業家側からは言われている」と明かした。ただ、創業家が株式の半数以上を保有していることから、「買収の受諾などについて現在の経営陣では単独で決められない」とも述べた。
和里田氏によると、顧問の道夫氏は現在、経営には関与していないという。

(ネット証券各社の提携先に関する表を加えて記事を更新します。更新前の記事は6段落目の松井証券のコメント部分を訂正済みです)
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