米メタ・プラットフォームズは「フェイスブック」や「インスタグラム」など世界最大級の消費者向け製品群を抱えている。

同社は10億人を大きく超えるユーザーを持つアプリを4つ展開。そして、すべてが順調に進めば、次にそのリストへ加わるのは人工知能(AI)エージェントかもしれない。

筆者は4日、サンフランシスコで開催されたブルームバーグ・テック会議で、メタの最高AI責任者アレクサンドル・ワン氏にインタビューした。話題は同社の次世代AIモデルから、中国をAI分野の脅威としてどう見ているかまで多岐にわたった。

特に興味深かったのはAIエージェントに関する議論だった。メタが、最終的には企業や一般消費者の日常を支援するボット型アシスタントの開発に大きな可能性を見いだしていることは明白だ。

メタは先週、顧客対応などの業務を担う法人向けエージェントへのアクセスを初めて有償提供すると発表した。巨額のAI投資をどのように収益へ結び付けるのかを待ち望んでいた投資家にとって、歓迎すべき兆しとなった。

メタは消費者向けエージェントも開発している。ワン氏は「私たちは積極的に開発を進めている」と語った。また、近く発表予定の新たなAIモデルも、AIエージェントを念頭に置いて設計されているという。

「最終的に私たちが世界に向けて構築したいと本当に考えているのは、最善のパーソナルエージェントだ」と同氏は強調した。

ワン氏は、多くの人が生活を支えるために「1つ、多くても2つ、あるいは少数」のAIエージェントに依存するようになると考えている。

これは、個別の用途ごとに利用されるモバイルアプリの普及形態とは異なる。同氏によると、自身は健康管理や友人とのつながりを維持するためにエージェントを活用している。

また、上司であるメタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)も、自らのCEO業務の一部を担うパーソナルエージェントを開発している。

AIエージェントを最大限に活用するには、そのテクノロジーに対する深い信頼が必要になるとみるワン氏は、「エージェントは極めて個人的な存在になるだろう」と話した。

もちろん、これはこれまでメタが特に得意としてきた分野ではない。同社は過去に複数の重大なプライバシー問題を経験しており、その中にはプライバシー侵害を巡って米連邦取引委員会(FTC)から科された記録的な制裁金50億ドルも含まれる。

こうした問題が同社の計画にとって足かせになる可能性について尋ねると、ワン氏は「これはエージェント全般に関わる社会的な問題だと思う」と述べ、業界全体として利用者のプライバシーや境界線を尊重することを確実にしなければならないと指摘した。

その上で、「これは単にメタの問題ではなく、より強力なエージェントを構築する中で業界全体の問題だと考えている。多くの意味で、人間とテクノロジーとの関係を再定義することになる」と語った。

ある意味で、ワン氏の見方は正しい。個人の生活に深く入り込む製品を提供しようとする企業にとって、極めて高い水準の信頼を獲得することは不可欠だ。これはメタだけが考えなければならない課題ではない。

しかし同時に、メタが不利な立場から出発しているのも事実だ。同社の過去の経緯を踏まえれば、一部の競合他社よりも険しい道のりを進まなければならない可能性が高い。

AIエージェントの時代は到来しつつあるが、メタが再び10億人規模のヒット製品を生み出すまでの道は、予想より長くなるかもしれない。

(この記事は、テクノロジー業界のビジネスを世界中のブルームバーグ記者が掘り下げて伝えるニュースレター「Tech In Depth」からの抜粋です)

原題:Meta’s Wang Says Agents to Change Our View of AI: Tech In Depth(抜粋)

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