スウォッチ・グループは、スイス・フラン高や米関税政策の影響に加え、イラン戦争を発端とする中東地域の混乱で、困難な経済情勢が年内続く可能性に備えている。

最高経営責任者(CEO)のニック・ハイエック氏によると、同社は中東に200以上の店舗を展開し、サウジアラビアを除く同地域の売り上げは昨年、全体の5-10%を占めた。店舗営業は継続しているが、観光客が減少すれば今週のラマダン明けの販売に影響する可能性がある。

ハイエック氏は18日の記者会見で、「それは確実に影響を与えるだろう」と述べ、戦争の長期化により需要が抑制される場合には、供給調整を行う可能性に言及した。「過去にもこの地域で紛争はあったが、その後人々は再び戻ってきた」とも語った。

中国の需要低迷や、トランプ米大統領による関税政策の影響が続く中、昨年の中東は数少ない明るい兆しが見られた市場だっただけに、同地域での戦争はスウォッチおよび高級ブランド業界全体にとって厳しいタイミングとなった。戦闘開始以降、スウォッチの株価は約16%下落している。

それでもハイエック氏は、観光需要が中東から欧州などへシフトすれば、同社の売り上げを押し上げる可能性があるとの見方も示した。また、不確実性が高まる局面では、支出で大切な人のための買い物が優先される傾向があるとし、ティソ(Tissot)やスウォッチ(Swatch)、ハミルトン(Hamilton)、ロンジン(Longines)といったブランドの需要拡大の可能性にも言及した。

同氏はさらに、スイス・フラン高が国内企業に与える影響について、スイス国立銀行(中央銀行)が過小評価しているとあらためて警告した。安全資産とされるフランは、2025年初めから対ドルで15%上昇している。

同社は景気回復に備え、雇用の維持や生産、在庫の確保を優先する方針を掲げている。この戦略に批判的な投資家に対し、ハイエック氏は「柔軟性を維持したい」と述べ、時には収益性が犠牲になる可能性にも言及した。

ハイエック氏の姉であるナイラ・ハイエック会長は年次報告書で、「われわれはスイス製にこだわり続ける」と述べ、「現地当局に迎合するためだけに、腕時計の生産を他国に移すという選択肢はない」とした。

原題:Swatch CEO Warns Iran War Is Weighing on Watchmaker’s Sales(抜粋)

--取材協力:Isabel Demetz.

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