日本銀行は19日の金融政策決定会合で、政策金利を0.75%程度に据え置くことを決めた。緊迫化する中東情勢に注意が必要としつつ、利上げ路線を継続していく姿勢を示した。政策維持は1月に続き2会合連続。

中東情勢を受けて、金融市場では不安定な動きが見られ、原油価格も大幅に上昇しており、「今後の動向には注意が必要」とした。原油高が政策判断で重視する基調的な物価上昇率の見通しに及ぼす影響について「留意が必要」と明記した。

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

基調物価は2026年度後半から27年度にかけて物価安定目標とほぼ整合的な水準になるとのシナリオを維持。金融政策運営は、経済・物価の見通しが実現していけば、経済・物価情勢の改善に応じて、利上げで緩和度合いを調整していく方針にも変化はなかった。

中東情勢を受けた原油価格高騰が、海外への所得流出やコスト上昇を通じて日本の経済・物価に悪影響を及ぼすことへの懸念が広がっている。日銀は基調物価の動向を注視しつつ、現時点では政策正常化方針を維持する方針を明確にした。

24年3月に大規模緩和から転換して以降の日銀は、経済・物価情勢の展望(展望リポート)の公表がなく、政策変更を行わない会合では政策運営方針を声明に記述せず、総裁が会見で説明するスタイルを続けてきた。今回は展望リポートや政策変更がないにもかかわらず方針を明記し、利上げ路線に変化がない点を強調した形だ。

野村証券の岩下真理エグゼクティブ金利ストラテジストは、原油高がどの程度続くかは不透明で、状況の見極めが必要と日銀はみていると指摘。利上げを焦る必要はないと日銀は考えているだろうが、「そこのコミニュケーションは非常に難しい。総裁は自分の発言で円安が進まないように気を使いながら発言するだろう」と語った。

結果発表後、円は対ドルでやや円安に振れる場面もあったが、影響は限定的。午後1時15分現在は159円60銭で推移している。前日の海外市場では一時159円90銭と節目の160円に迫った。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がインフレ面で進展が見られるまで利下げできないとの認識を示し、ドル買い・円売りが強まった。

米国とイスラエルによるイラン攻撃を受けて、声明文のリスク要因に中東情勢を追加した。金融・為替市場の動向などを含め、日本の「経済・物価への影響については、十分注視する必要がある」としている。

採決は8対1。反対した高田創審議委員は1月会合に続いて1.0%程度への利上げを提案したが、反対多数で否決された。高田氏は、物価目標はおおむね達成されており、海外発の物価 上昇の二次的波及から国内物価の上振れリスクが高いと主張した。

大和証券の南健人シニアエコノミストは、声明文では原油価格上昇が基調的な物価の見通しに及ぼす影響については留意が必要という表現にとどめており、「上下両方向のリスクについてのウエートは示されていない」と指摘。「おそらく日銀の中でも、原油価格上昇を受けて今は様子見という形だと思う」と語った。

ブルームバーグがエコノミスト51人を対象に5-10日に行った調査では、全員が政策金利の据え置きを予想していた。追加利上げは4月との見方が37%。次いで7月の29%、6月の22%となり、7月までの利上げを88%が見込んでいる。

(詳細やエコノミストのコメントを追加して更新しました)

--取材協力:野原良明、氏兼敬子.

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