国内石油元売り大手の出光興産は18日、イラン情勢の長期化を見据え石油製品の供給量を減らしていると明らかにした。米国とイスラエルによるイラン攻撃以降、石油元売りが供給縮小を明らかにしたのは初めてとなる。

出光興産のタンクローリー

出光の広報担当者はブルームバーグの取材に対し、「事態の長期化も見据え、製品の計画販売などの対応をしているが、安定供給の確保と影響の最小化に向けて取り組んでいる」と述べた。供給量を絞っていることを認めた上で、対象製品や数量については回答を控えるとした。

米国とイスラエルによるイラン攻撃から2週間以上が経過しているが、収束のめどは立っておらず、石油輸送の要衝であるホルムズ海峡の事実上の封鎖も続いたままだ。原油の95%超を中東に依存する日本は、影響の緩和のため過去最大規模の石油備蓄放出を今週から始めたが、日本企業への影響は既にじわりと広がり始めている。

国内大手セメント製造会社のUBE三菱セメントの担当者は18日、3月の重油購入量を前年同月あるいは前月実績程度に抑えるよう石油元売り各社から要請を受けていると明らかにした。調達した重油の多くは製造後のセメントを出荷する船の燃料として使用しているという。

商船三井の広報担当者によると、日本やアジア地域で供給不足により船舶燃料の補給が困難となる地域も出始めている。「日本、韓国、シンガポールなどは原料となる原油の中東依存率が極めて高いことから、今後の供給不安について危惧している」と続けた。

石油元売りなどが加盟する石油連盟が18日に公表したデータによると、船舶や大型ボイラーの燃料として使用される高硫黄C重油の在庫は14日時点で前週比9.8%減の約110万キロリットルだった。

金子恭之国土交通相は17日の閣議後記者会見で、トラック・バス関係については、既に一部の事業者から、石油販売会社が大口購入者向けの軽油販売の停止や数量制限を行っており、「従前どおりの軽油の調達が難しくなっていると聞いている」と述べた。また、内航海運や旅客船でも重油などの供給に対して販売制限を行う動きが見られているとした。

国内最大手のENEOSホールディングスの広報担当者は、出荷制限や数量調整などの措置を講じているかとの問いに対し、「そのような事実はない」と回答した。コスモエネルギーホールディングスはコメントを控えた。

石連のデータによると、国内製油所の8-14日の週間稼働率は69.1%と前週の77.6%から大きく減少した。事故や定期修理などによる稼働停止分を除いた稼働率も72.5%と前週から8.4ポイント低下した。

石油製品は連産品であり、原油を精製するとガソリン、ナフサ、軽油、灯油など複数の燃料油が同時に生産される。基礎化学品の原料となるナフサは、需要量の4割を国内の精製設備からの供給で賄っている。

資源エネルギー庁の18日の発表によれば、16日時点の全国のガソリン小売り価格は1リットルあたり、190.8円で、前の週から一気に29円上がった。

石油化学業界では既にホルムズ海峡の封鎖に伴い原料ナフサの調達が難しくなっていることからエチレンを減産する動きが相次いでおり、元売りからの供給減となれば影響が深刻化する可能性がある。

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