中東情勢の混乱に伴う原油高で、ガソリンの小売価格も上昇している。都内のガソリンスタンドでは、レギュラーガソリンが1リットルあたり200円超で販売されているケースもある。政府は19日から全国平均の小売価格を170円程度に抑制するための補助を始めるが、実際に下がるのはいつ頃になるのか。

補助の仕組みは?

経済産業省の発表によれば、ガソリンについては170円を超える分について全額補助をする。元売りと呼ばれる石油の輸入や石油精製の業者に卸売り価格引き下げの原資として補助金を支給し、小売価格を抑制する。軽油や重油、灯油についてもガソリンと同額を補助する。

軽油には暫定税率が廃止される4月1日まで税率相当分の17.1円の補助がされており、これに追加で支給する形になる。重油と灯油は従来の5円の補助に変えて、ガソリンと同額の補助を行うことになっている。4円の補助がされている航空燃料は、ガソリン補助額の4割相当を支援する。

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いつから価格は下がるのか?

19日出荷分から補助が始まる。赤沢亮正経済産業相によれば、おおむね1-2週間をかけて補助前の在庫がはけ、全国の小売価格が170円程度に下がると見込んでいるという。

通常石油元売りは毎週水曜日ごろに、過去1週間程度の原油価格や為替レートの平均値を基に卸売価格を見直す。千代田区内のガソリンスタンドの担当者も、19日の補助金の反映は早くて26日かその次の週ごろになるとみているという。

補助の財源は?

まずは現在の燃料油補助金の基金残高(約2800億円)を活用するとしている。みずほリサーチ&テクノロジーズ調査部のチーフ日本経済エコノミスト服部直樹氏は、ガソリン小売価格が200円で推移すると想定した場合、4月半ばに枯渇すると指摘している。2025年度の国の予算の予備費を含めると8月半ばに、26年度分まで含めた場合でも12月半ばに使い切ることになるという。

今後の課題は?

中東情勢の先行きは不透明感が強く、原油市場の高止まりや上昇が続けば、補助金を維持するための財政負担が巨額になる可能性がある。現在、国際原油指標のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は1バレル=95ドル台で推移する。過去の紛争時、ロシアのウクライナ新興があった22年に100ドルを超えたこともある。

野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは9日時点で、WTIが1バレル=87ドル程度で推移すれば、1カ月程度後の国内ガソリン価格は1リットル=204円と試算していた。08年の最高値である140ドルまで上がれば、ガソリン価格は328円まで上がるという。

また、補助金支給による副作用も見逃せない。補助金は価格シグナルを歪め、需要側が無駄な消費を抑えるインセンティブを弱める。新型コロナウイルス禍後の22年1月に導入された同様のガソリン補助金は、支援額の変化などはあったものの25年12月まで続いた。こうした支援はいったん始めると打ち切りが政治的に難しくなる恐れがある。長期化すれば脱炭素に逆行するとの批判を招きかねない。

消費者からも懸念の声があがる。会社員の川崎明さん(68)は、ガソリンの補助金自体はいい話だが、財源が「足りるのか心配」と話す。またプラスチックなどほかに石油を使っている業界にも補助しないと「公平ではない」と感じるという。

地域の価格差はなぜ生じるの?

経済産業省の調査によると、レギュラーガソリンの9日時点の小売価格が全国で最も高かったのは山形県の170.1円で最も低かった愛知県は155.6円だ。スタンド間の競争環境や製油所からの距離などの要因でこうした地域差が生じているとされており、補助金が卸売りに適用されてもその構図は変わらない。ガソリンスタンド経営の助言を行う公認会計士、中澤省一郎氏は「地域差は厳然として残る」との見方を示す。

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