(ブルームバーグ):米国・イスラエルによる対イラン戦争は開始から7日目を迎えたが、事態が収束に向かう兆しはほとんどみられない。
イランは中東の少なくとも5カ国に弾道ミサイルやドローンを相次いで発射。サウジアラビア、クウェート、バーレーンなど湾岸諸国が標的となった。
一方、イスラエルはテヘランに対する12回目の空爆を実施し、米国はクウェートの大使館業務を停止した。米原油先物は1バレル=81ドルに上昇し、世界的な債券売りも止まらなかった。
これまでにイランでは少なくとも1230人が死亡し、中東の他の国々でも数十人が犠牲となった。米国防総省は米兵6人が死亡したと明らかにしている。

トランプ米大統領は、米軍はイラン軍を「完全に壊滅させている」と述べ、イランには「空軍も防空能力もない」と主張した。さらに「海軍は壊滅した。3日間で24隻だ」と付け加えた。
NBCニュースとの電話インタビューでトランプ氏は5日、イランの指導体制を「一掃」したいと考えており、後任として想定している人物の名前もあると語ったと報じられた。トランプ氏は具体名の公表は避けたが、自身のリストにある人物が戦争を生き延びられるよう手を打っているという。
トランプ氏は「10年かけて再建するような人物は望んでいない」とも述べた。
また、米ニュースサイト・アクシオスのインタビューでもトランプ氏は、イラン指導部の将来について言及した。
死亡した最高指導者ハメネイ師の息子モジタバ師について、トランプ氏は「軽量級だ」と評し、モジタバ師ではイランの政策は変わらないと述べた。さらに、トランプ氏は次期指導者の選定に自ら関与する意向を表明。「ハメネイ師の息子は私にとって受け入れられない。われわれはイランに調和と平和をもたらす人物を望んでいる」と語った。
エネルギー市場には混乱が広がり、原油は2022年以来の大幅な週間上昇率を記録する勢いだ。
ただし、トランプ氏は「原油への圧力を減らすための措置をまもなく実施する。原油価格はほぼ安定しているようだ」と述べ、エネルギー価格への懸念を退けた。さらに「われわれはこれまで(原油価格を)非常に低水準に抑えていたが、少し回り道を余儀なくされた」とも述べた。

夜間にはテヘランの一部で爆発音が響いた。イスラエルは、イランがイスラエルの都市に向け新たなミサイル攻撃を開始したと発表した。これに先立ち、イスラエル国防軍(IDF)のザミール参謀総長は、空爆によりイランの弾道ミサイル発射装置の60%以上を無力化したとし、イラン体制および軍事能力の解体に向け次の段階に移行していると述べた。
紛争の拡大を示す別の兆候として、北大西洋条約機構(NATO)は、4日にトルコ領空に向かっていたイランの弾道ミサイルを迎撃したことを受け、同盟全体の弾道ミサイル防衛態勢を強化すると表明した。
米国とイスラエルが2月28日に作戦を開始して以降、約12カ国が紛争に巻き込まれた。
直近では、イランのドローン2機がアゼルバイジャンの飛び地ナヒチェワン自治共和国を攻撃した。アゼルバイジャンはイランが地域の緊張を高めていると非難し、報復を示唆した。
「これらの侵略行為は決して看過されない」とアゼルバイジャン国防省は声明を出し、「国家主権と民間人の安全を守るため」の対応を準備していると付け加えた。イランはドローン攻撃との関係を否定した。
イランの革命防衛隊による報復攻撃は今後数日で強まると、ヌール通信が伝えている。トランプ氏も同様に強硬姿勢を示し、米国には「無制限の武器供給」があるとポリティコの取材に答えた。
市場の動揺続く
長期戦の可能性は市場を動揺させている。
米原油は、主要な買い手への供給が混乱している兆候を受け、上昇して引けた。最大の原油輸入国である中国は、燃料の節約に動いている。リッチモンド連銀のバーキン総裁は、戦争が経済に与える影響がどれだけ長引くかによって、中央銀行の対応が決まるとの見方を示した。
米下院は5日、トランプ氏のイラン攻撃を制限する決議案を、上院に続いて否決した。これにより、トランプ政権は制約なく作戦を進められる。ただし、採決は219対212と僅差だった。
サウジアラビアは攻撃を防ぎ続けており、夜間には複数のミサイルとドローンを迎撃したと発表した。米軍施設があるリヤド近郊のアルカルジ、サウジアラムコが本社を構える東部地域に向けられている。
サウジアラビアは数百万バレルの原油を紅海沿岸の港へ振り向けており、ホルムズ海峡がほぼ閉鎖された状態が続く中でも、世界最大の輸出国として供給維持を図っている。
航空業界も引き続き混乱しており、戦闘開始以降、中東の主要ハブ空港への欠航便は2万3000便を超えた。湾岸地域では数千人の乗客が足止めされている。
米イラン、ともに攻勢緩めぬ構え
トランプ政権の主張に反し、イランのアラグチ外相はNBCニュースに対し、イランは停戦を求めておらず、交渉する意図もないと述べた。「交渉において誠実でない相手と、再び関与する理由は見当たらない」と語った。
トランプ政権も攻勢を緩める姿勢は示していない。ヘグセス国防長官は記者団に対し、作戦終了まで「6週間かもしれないし、8週間かもしれないし、3週間かもしれない」と述べた。
その後、フロリダ州の中央軍司令部本部で開いた別の記者会見でも、ヘグセス氏は米国の兵器在庫が不足しているとの懸念を否定。「イランはわれわれが持続できなくなることを望んでいる」としつつも、「われわれの能力は圧倒的で、さらに増強されている。イスラエルのパートナーも同様だ。弾薬は十分にある」と述べた。
原題:Iran Barrage Sweeps Mideast as Trump Weighs In on Succession (2)(抜粋)
(第6-7段落にトランプ氏の発言を追加して更新します)
--取材協力:Kate Sullivan、Andrea Palasciano、Kateryna Kadabashy、Alisa Odenheimer、Benoit Berthelot、Jordan Fabian、Ani Avetisyan、Courtney McBride、Jeff Mason、Jon Herskovitz、Roxana Tiron.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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