アクティビスト(物言う株主)として知られる香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメントは5日、花王に臨時株主総会の開催を請求したと発表した。原材料などの調達先に森林破壊や人権侵害が指摘される企業が含まれる可能性があるとして、独立した第三者による調査委員会の設置を求めている。

オアシスは、花王のパーム油や紙・パルプの調達に関わるサプライチェーンについて、人権侵害や森林破壊との関連が報じられているサプライヤーを利用しているとの複数の内部告発を受け取ったと説明。オアシスは花王株の6.6%超を保有する大株主で、問題は事業の中核に関わると主張する。

セス・フィッシャー最高投資責任者(CIO)は同日の説明会で「無視できない事実」と指摘し、社内調査や経営陣主導のプロセスでは不十分で「完全に独立した株主の付託に基づく調査が必要だ」と訴えた。今回の動きは花王固有の問題にとどまらず、サプライチェーンの人権・環境管理を巡る株主の監視が日本企業全体に広がる可能性を示している。

一方、花王の広報担当者はブルームバーグの取材に対し「これまでも、環境・社会・ガバナンス(ESG)への取り組みを重要な経営課題の1つと位置づけ、法令を順守しながら事業活動を行ってきた」とコメントした。事実関係を整理・確認した上で必要に応じて適切に説明するという。

オアシスが今回、問題のサプライヤーとして挙げたのはマレーシアのパーム油大手FGVホールディングスやインドネシアのアストラ・アグロ・レスタリなどの8社。競合のユニリーバなどが取引を停止したり不買リストに追加したりしているサプライヤーを含んでいる。

フィッシャー氏は「これらは周辺的なリスクではなく、花王の事業やビジネスモデル、中期経営戦略の中核に位置する問題だ」と強調。また長谷部佳宏社長がESGコミッティの議長を務め、経営陣の業績連動型株式報酬の相当部分がESG指標に連動している点を挙げ、「構造的な利益相反」が存在すると主張した。オアシスは同社長との面会を複数回求めたが「対話の機会を得ることができなかった」と説明した。

花王は今月26日に定時株主総会(AGM)を予定しているが、オアシスは今回の問題を株主提案としてではなく、臨時株主総会(EGM)の招集請求という形で提起。フィッシャー氏は十分な時間をかけて非公開で調査を進め、入手可能な情報をすべてそろえた段階で提起したと説明し、「この問題はそれ自体で独立した会合を必要とするほど重大だ」と述べた。

オアシスは、これまでも花王の利益成長がグローバル競合企業と比べて見劣りするとし、経営改革を求めてきた。昨年の株主総会では、同ファンドが提案する5人の社外取締役候補を選任する議案や社外取の報酬に関する議案を提出したが、すべて否決されている。

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--取材協力:南部真帆.

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