(ブルームバーグ):米国とイスラエルがイラン全土の複数の標的に対する攻撃を開始したことを踏まえ、高市早苗首相は28日、情報収集の徹底と在留邦人の安全確保に向けて万全の措置を講じるよう関係省庁に指示した。
同日夜、官邸で記者団に明らかした。首相は「現時点で邦人被害の情報には接していない」とした上で、「海路、空路の状況把握と関係事業者への情報提供、今後予想される経済的影響の洗い出しについても指示を出した」と述べた。
事態が拡大していることから、イラン、イスラエルに加え、バーレーン、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)など周辺国の邦人安否情報の把握、安全の確保についても指示しているとした。
国家安全保障会議
政府は高市首相、小泉進次郎防衛相、茂木敏充外相らが出席する国家安全保障会議(NSC)の閣僚会合を開催し、今後の対応を協議した。
終了後、木原稔官房長官は1日未明に記者会見し、「国際的な核不拡散体制の維持のためにも、イランによる核兵器開発は決して許されない」との見解を示した。その上で、イランに対し、「核兵器開発および地域を不安定化させる行動をやめるべきだ」と語った。
米国とイスラエルによる攻撃の国際法上の評価や支持するかについて問われたが、明言は避けた。事態の早期鎮静化に向け、引き続き必要なあらゆる外交努力を行うとした。中東不安定化によるエネルギー供給への影響については「石油の需給において直ちに影響が生じるとの報告は得ていない」と述べた。
情勢が緊迫化すればエネルギーの供給や価格の高騰を通じて世界経済に波及する可能性が高い。原油輸入の約9割を中東に依存する日本の物価への影響は避けらないほか、UAEには邦人の在住者も多く、政府の危機対応力が改めて問われる局面となった。外務省によると、2023年10月時点でUAEの在留邦人数は4546人となっている。
一方、茂木外相は周辺国を含めた邦人の保護に向け、「既に退避に向けた準備を行っている」と記者団に語った。
小泉防衛相は、自衛隊は邦人輸送に向けて常に部隊を速やかに派遣する体制を整えているとした上で、「邦人の安全確保に万全を期すため、外務省をはじめ関係省庁と緊密に連携し、適切に対応する」と述べた。

トランプ米大統領は、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で米軍がイランでの大規模な戦闘作戦を開始したと投稿。イラン政権による差し迫った脅威を排除し、米国民を守ることが目的だとの考えを示した。
トランプ氏の投稿直前にテヘランで複数の大きな爆発が報告された。トランプ氏はイランのミサイル備蓄と産業、海軍を破壊すると表明している。イラン側は、防衛施設と核施設への攻撃があったと発表した。AP通信によると、少なくとも攻撃の一つが、最高指導者ハメネイ師のオフィス付近で発生した。
米国とイスラエルの作戦開始から数時間後、イランはイスラエル、カタール、UAE、バーレーンなど複数の場所にミサイルを発射。バーレーンは国内の米軍基地が攻撃を受けたと発表し、カタールとUAEは自国領土への攻撃を迎撃したと明らかにした。ドバイでは、爆発音が確認されている。

(木原官房長官と茂木外相の発言などを追加し、更新しました)
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