米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイのグレッグ・アベル最高経営責任者(CEO)は年次報告の一環として2月28日に公表した初の株主向け書簡で、ウォーレン・バフェット氏の指針原則を維持し、同氏のCEO退任後も、バークシャーは繁栄し続けると投資家にアピールした。

アベル氏(63)は書簡冒頭で、60年余りにわたり同社を率い、割安銘柄の発掘と長期投資を重視してきたバフェット氏をたたえ、「ウォーレンの後を継ぐのは明らかに非常に難しい」と記した。

グレッグ・アベル氏

アベル氏はバフェット氏を「史上最高の投資家と言っても過言ではない」と評する一方、長年のビジネスパートナーだった故チャーリー・マンガー氏と共に、バークシャーを永続的な企業へと築き上げたことも同様に顕著な功績だと言及。資本規律や誠実さ、長期投資といった同社の中核的価値観は変わらないと約束した。

また、バフェット氏と協議の上で自社株が内在する価値を下回っていると判断した場合には自社株買いを実施するとの株主還元方針を改めて確認した。

バフェット氏が2025年5月に同年末でCEOを退任すると発表した後、バークシャーの株価が下落したにもかかわらず、同社は6四半期連続で自社株買いを見送った。

アベル氏はまた、「留保利益1ドルで株主に1ドル超の市場価値が合理的に創出」される可能性が高い場合、配当の支払いは行わないと明らかにした。

個人崇拝克服

書簡は全体としてバークシャー事業の概況を率直に振り返る内容で、アベル氏は独自色を打ち出しつつも、同社の理念に忠実であろうとする姿勢を示した。

ハドソン・バリュー・パートナーズのクリストファー・デービス氏は、リーダー交代時に投資会社の生き残りを妨げがちな個人崇拝をアベル氏は克服しようとしていると指摘した。

アベル氏によれば、投資家とのコミュニケーション方法を変更する予定はない。バークシャーは同規模の上場企業で唯一、投資家向け情報提供(IR)部門を設けておらず、年次の株主総会以外に投資家向けイベントを開催していない。

「われわれは頻度ではなく質に集中する」と同氏は説明し、「重大な問題が生じれば私から伝えるが、長期的な時間軸を踏まえ、四半期ごとのコメントという形は取らない」との方針を示した。

バフェット氏のファンにとって、アベル氏による初の株主向け書簡は一つの時代の終わりを意味する。伝説的な投資家で億万長者の知恵や警句、人生訓を盛り込んだバフェット氏の書簡は多くの人にとって必読だった。

CFRAリサーチのアナリスト、キャシー・サイファート氏はアベル氏の書簡について、「バフェット氏という個人への適切な敬意が示される一方で、バークシャーという組織、その価値観、運営方針、考え方は継続するという強調があった点で、おおむね予想通りだった」と述べた。

継続性を強く打ち出す一方で、アベル氏の書簡には少なくとも一つの変更も盛り込まれた。

バークシャーの伝統からの転換として、5月の次回株主総会には、同社傘下企業の幹部であるBNSFのケイティ・ファーマー氏とネットジェッツのアダム・ジョンソン氏が登壇する予定だ。投資家やアナリストは以前から、バークシャーの層の厚い事業幹部にもっと光を当てるよう求めていた。

最後の四半期

バークシャーが同日発表した25年10-12月期(第4四半期)決算は、営業利益が30%近く減少した。保険引き受け事業の利益が大きく落ち込んだ。

またクラフト・ハインツとオクシデンタル・ペトロリアムの保有株で45億ドル(約7000億円)の減損を計上した。手元資金は3733億ドルに減少した。

保険や鉄道、エネルギー、製造業など多岐にわたる事業を傘下に持つバークシャーの業績は、米経済の健全性を反映する存在として注目度が高い。この決算は、バフェット氏がCEOを務めた最後の四半期だった。

原題:Berkshire Hathaway’s Abel Vows Firm Will Thrive Beyond Buffett、Berkshire’s Operating Profit Falls on Insurance Underwriting(抜粋)

(投資家向け書簡を追加して更新します)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.