コロラド州やユタ州など米西部の主要スキーリゾートの一部で今シーズンの降雪量が過去最低水準に落ち込んだことを受け、米国のスキーヤーの間では来年の行き先として日本や欧州を検討する動きが広がっている。

米国を代表するスキーリゾート、コロラド州アスペン。同地に向かうフライトは常に天候を相手にした賭けだった。だが、その不安の中身は近年、大きく様変わりした。かつては吹雪で着陸できるかどうかが懸念材料だったが、いまではスキーを楽しめるだけの雪が十分に積もっているかが懸念されている。

米西部で降雪不足が起きるのは初めてのことではない。それでも今シーズンは様相が異なる。雪不足は例年以上に深刻で、山肌がところどころで露出している。旅行業界の関係者やアナリストの間では、このままではアスペンでさえ最も熱心な常連客をつなぎ留められなくなるのではないかと危惧されている。

スキーヤーは大きく2つのタイプに分かれる傾向がある。純粋にスキーをするために旅行に行く人と、滑走後の娯楽を目当てにリゾートを訪れる人だ。全米スキー場協会の調査では、回答者の80%以上がリゾート訪問の最大の目的として「滑降スキーやスノーボード」を挙げており、食事やナイトライフ、社交体験などを主な理由とする回答は少数にとどまった。

もっとも、滑りだけが目的ではないと答えた約15~20%のリゾート訪問者にとっても、滑走後の飲食や社交だけを目当てに1週間のアスペン旅行に出かけるのは合理的とは言いがたい。航空券や宿泊費、リフト券、食事代などを合計すれば、費用は1人あたり週8000-1万5000ドル(約125万-235万円)に上ることも珍しくないからだ。

そのため、旅行者の間では、積雪状況が思わしくないと分かった時点で計画を取りやめ、翌年に仕切り直すべきかどうかを検討する動きが出ている。ただ、多くのリゾート地ではキャンセル規定が厳しく、予定の変更は容易ではない。

シリコンバレーの富裕層を主な顧客とする高級旅行マネジメント会社サバンティ・トラベルの創業者リー・ローワン氏によると、こうしたリゾートでは通常、30日前、あるいはそれ以前のキャンセルを求められる。解約を申し出ても「雪の状態が悪いという理由だけでは予約を解除できない」と断られることが多いという。

こうした経験から、同氏の顧客の間では、毎年少なくとも1回はスキー旅行に出かけ、同じ場所に足を運ぶ常連客を中心に、来年の予定を見直す動きが出ている。「文字通り溶けてしまうかもしれないスキー旅行のために、1万ドルも費やすことにみんなうんざりしている」とローワン氏は語る。

別の行き先を模索する顧客層は、米東海岸やテキサスからプライベートジェットで米西部を訪れる層、良いパーティーを求めてどこへでも行く若い富裕層、子どもを連れて学校休暇をアスペンで過ごす家族、友人同士で滑りに行くスノーボーダーやスキーヤーのグループなど多岐にわたる。

有力な代替地として候補に挙がっているのが欧州と日本だ。

「特にホリデーシーズンに向けて、確実な積雪が見込める旅行を求める予約が増えている」と、ウインタースポーツ予約専門サイト「スキー・ドット・コム」のキャット・イワンチュク副社長は話す。具体的には、欧州の高地にあるオーストリアのヒンタートゥックスやシュトゥーバイ氷河、スイスのツェルマットなどのスキー場が挙げられる。季節が反対の南米も候補で、同サイトによるとチリのポルティージョは需要が前年比126%増と先頭を走る。

サバンティのローワン氏は、米国内では得られない文化体験を求める動きが、欧州や日本に注目が集まる背景にあるとみる。「街を楽しみ、おいしい食事をし、素晴らしいホテルに泊まり、旅行全体を文化的体験として組み立てたいと考えている」と同氏は話す。「特に家族連れはそれを好む」という。

原題:Poor Snowfall Has Aspen and Deer Valley Losing Their Loyalists(抜粋)

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